2019 Fiscal Year Research-status Report
Database development, spatial analysis, and theory verification for the design of Payment for Ecosystem Services
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18K11735
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Research Institution | National Research Institute for Earth Science and Disaster Prevention |
Principal Investigator |
庄山 紀久子 国立研究開発法人防災科学技術研究所, 防災情報研究部門, 主幹研究員 (40526711)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 土地利用 / 空間分析 / 農地生態系 |
Outline of Annual Research Achievements |
生態系サービスへの支払制度は、理論的には保全行動に対するアクションベースの支払制度よりも効果に対して支払額を決めるアウトカムベースの支払制度の方が政策の費用対効果が大きく、また空間的異質性の高い環境下では支払対象を空間的に絞るターゲティング戦略が有効である。一方で現行の支払制度はアクションベースの支払制度であり、ミスターゲティングが生じている可能性が指摘されている。本研究は農業生態系の空間的異質性に着目し、アウトカムベースの要素を取り入れる要件を明らかにしたうえで、ターゲット戦略の有効性を実証する。そのために(1)エージェントベースの土地利用モデルを用いて支払制度に複数のターゲット戦略を導入した場合の土地利用影響を明らかにし、(2)制度の効果を定量化する生態系サービス指標の選定と必要な空間範囲の設定など必要条件を明らかにする。 今年度は主に以下の分析を行った。 1)初年度に実施した農家を対象とした社会調査の結果に基づいて、収集した農林業センサスデータから分析に用いる属性項目の選定を行った。2)線形モデルを用いて放棄農地発生要因と直接支払制度効果の検証を分析した。3)放棄農地発生要因および生態系サービスへの支払い制度に関する既往研究の総括的なレビューを行い、分析結果との比較、考察を行った。4)上記の結果を踏まえたエージェントベースモデルの設計を行い、エージェントシミュレーションツールであるRepast Simphonyを用いてプロトタイプの構築を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
7月に所属機関を変更後、九州北部豪雨災害対応等により研究体制の整備に時間を要したため、当初予定していた研究計画よりやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
分析結果に基づいて以下の土地利用モデルの設計、構築を行う。また必要に応じて補足データの収集を行う。(1)ターゲット戦略の検討:構築した土地利用モデルに、現行の地理的条件による交付対象農地の設定、5年間の集落協定に加えて、条件不利地域や生態系サービス維持において空間的に重要な地域に対する直接支払額の変更など、複数のターゲット戦略を組み合わせて支払制度の試行的評価を行う。(2)補足調査データを用いたモデル改良:現地ヒアリング調査を行い、ターゲット戦略の実施可能性および生態系サービス指標の適合性について課題を整理し、必要に応じてモデル改良のための補足調査を実施する。(3)研究成果のとりまとめ:研究成果を数本の学術論文として国際誌に投稿すると共に、国内外の学術会議や調査対象地域において成果を公表する。
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Causes of Carryover |
所属機関を変更後に災害対応等により研究体制の整備に時間を要したため、当初予定していた研究計画よりやや遅れている。および3月に予定していた学会および研究打合せがコロナ感染拡大防止のため中止となり、未使用額が生じた。未使用額は令和2年度に計画通り執行する。
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Research Products
(3 results)