2018 Fiscal Year Research-status Report
海水利用下水正浸透膜処理における下水起源クロラミンの膜通過による両側生物膜制御
Project/Area Number |
18K11739
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Research Institution | The University of Kitakyushu |
Principal Investigator |
寺嶋 光春 北九州市立大学, 国際環境工学部, 准教授 (60706969)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 正浸透膜 / 都市下水 / クロラミン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、FO膜のファウリング防止薬剤として、下水に含まれているアンモニアをクロラミンに変えて用い、海水の塩分を駆動源とした正浸透(FO, Forward Osmosis) 膜により下水を低動力で処理すると同時に有機物を濃縮する(濃縮することで効率的にメタンを回収する)ことを目指しているシステムにおいて、FO膜の両側にクロラミンを接触させ、効果的にバイオファウリングを防止することを狙った研究である。 生下水をし渣を除去後、限外ろ過(UF)膜で固形物を取り除き、FSとして供給した。DSとしてはUF膜処理後の海水を用いた。膜面積30.5 m2の三酢酸セルロース製(東洋紡)の中空糸FO膜ユニットを用いて分離を行った。運転開始時点の膜面透過流束は0.27 L/m2Hr程度であったが、運転の経過とともに低下し240時間経過後は0.030 L/m2hr程度になった。FSタンク内の塩分濃度が低く浸透圧差が大きい初期は、膜面透過流束は高く、塩分濃度が高く浸透圧差が低くなると膜面透過流束は低くなった。また、膜面透過流束と浸透圧差は直線関係となったことからFS塩分濃度の上昇に伴う浸透圧差の低下は膜面透過流束低下の主たる原因であり、今回の実験条件では膜面のファウリング進行はなかったと考えられる。水TOC濃度20~30 mg C/L程度に対してFS(濃縮水)のTOCは約230程度になり、目標としていた約8~10倍程度の濃縮水を得ることができた。処理水のTOC濃度は5 mg/L以下となった。以上のように、下水中のアンモニアを原料として次亜塩素酸ナトリウムを添加しクロラミンを生成させることで効果的にファウリングを防止できることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
下水中のアンモニアを原料として次亜塩素酸ナトリウムを添加しクロラミンを生成させることで効果的にファウリングを防止できることを明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
海水塩分濃度約3.5%と比較して、海水淡水化施設から排出される濃縮海水の濃度は、6~7%と高い。さらに、海水淡水化施設では前処理として海水中の懸濁成分をほぼ完ぺきに除去していることから、濃縮海水中にも懸濁物質は殆ど存在していない。このことは、FO膜(海水側膜面)への汚濁負荷が極めて小さくなりシステムの運転をより容易にしてくれるものと期待される。国内では福岡県と沖縄県において大規模海水淡水化施設が稼動しており、これらから排出される濃縮海水を有効利用すれば、本システムの優位性がさらに発揮される。今後は、単に海水だけでなく、海水淡水化施設との複合化および海水淡水化を実施している海外での適用検討も視野に、クロラミンのFO膜両側でのバイオファウリングの抑制効果の研究を進めていく。
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