2019 Fiscal Year Research-status Report
製造サステナビリティ向上のための体積比エネルギーに基づく生産システム最適化
Project/Area Number |
18K11740
|
Research Institution | Setsunan University |
Principal Investigator |
諏訪 晴彦 摂南大学, 理工学部, 教授 (40299029)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 工作機械 / 消費電力 / 体積比消費エネルギー / 小型協調ロボット / 放電加工機 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は昨年度に引き続きワイヤカット放電加工機を対象とした消費電力特性の分析と,製造システムテストベッドを構成しシステム運用時の消費電力特性の観察及びエネルギー効率化スケジューリングの実効性に関する基礎的な検討を行った。 まず,昨年度からの継続的課題として,ワイヤーカット放電加工機における導電性および熱伝導率による影響を明らかにするため,消費電力特性の分析を行った。5種類の被削材(A5052,S50C,SKS3,SKD11およびNAK55)の加工実験において加工機全体で消費する電力を測定し,(1)熱伝導率が高いほど総消費電力が少なく加工時間が短い,(2)伝導率と消費電力に相関はなく,熱伝導率と消費電力には強い負の相関があることがわかった。以上の結果は,ワイヤーカット放電加工機の消費電力やピーク電力などの予測精度向上,工場内でのエネルギーの効率的利用につながる。 マシニングセンターとCNC旋盤およびマテリアルハンドリング・マニピュレータ(搬送ロボット)を組み合わせた「製造システムテストベッド」を新たに構成し,システム全体の消費電力特性の観察とともに,エネルギー効率な運用スケジュールを立案するための基本指針を考察した。とくに,搬送ロボットの作業スケジュールが製造システム全体のエネルギー効率性と生産性に与える影響に着目した。実用性を考慮したスケジュールをいくつか取り上げ,それらにしたがう加工実験を実施したところ,製造リードタイムが短いほど消費電力量が低減するわけではないことがわかった.また,搬送ロボットの消費電力はシステム全体に及ぼすそれに比して小さく,搬送ロボットにより工作機械の加工タイミングを決定し,システムの消費電力量を御することの可能性を示した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究目的は三つあり,うち二つ:各生産設備での複数の作業を想定し,時間軸上での展開を考える,および自動化生産セル(CNC 旋盤と小型協調ロボット)を対象として,理論最適方策の実証実験を実施する,について概ね順調に進展している。これまでは単体の工作機械やロボットを対象として消費電力特性の把握に注力していたが,今年度は自動化生産セルを中心とした製造システムテストベッドを構築し,スケジューリングの観点から,複数機械や複数作業を対象としたエネルギー効率性(生産個数/kJ)の議論へと展開することができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
・ワイヤーカット放電加工機について,消費電力予測モデルを構築するにあたり,加工時消費電力特性を熱伝導率がもっともよく説明できるという結果に至っている。熱伝導率と被削材の除去体積比エネルギーとの関連性を探る。 ・製造システムテストベッドでの物理実験を軸として,体積比エネルギーの最小化が処理効率の最大化と等価であることを仮定した上で,対象システムのエネルギー最適化問題 の枠組みを構築する。また問題を記述する数理モデルの構築を試みる。
|
Research Products
(6 results)