2022 Fiscal Year Research-status Report
自治体エネルギー政策を支える中間支援組織の体制整備と機能強化に関する研究
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18K11746
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Research Institution | The University of Shiga Prefecture |
Principal Investigator |
平岡 俊一 滋賀県立大学, 環境科学部, 准教授 (70567990)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
的場 信敬 龍谷大学, 政策学部, 教授 (10532616)
木原 浩貴 立命館大学, 産業社会学部, 授業担当講師 (50815355)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | エネルギー・エージェンシー / 専門人材の育成 / 継続教育 / 地域新電力 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、主に後半から少しずつではあるが現地訪問型のインタビュー調査を国内・海外の双方で再開した。海外調査では、コロナ前から本研究において重点的に調査を実施していたオーストリアの中間支援組織「エネルギー・エージェンシー」(以下、エージェンシー)関係者を対象に、主に組織内外での人材育成をテーマにしたインタビュー調査を行った。また、国内においては、同組織(ならびに同組織の設立に向けて動いている)関係者を対象に、体制構築・強化等に関する現状・課題をテーマにしたインタビューを行った。 オーストリアでの調査では以下のような知見を得ることができた。①同国内では、自治体レベルでの気候エネルギー政策に関連する仕事が増えている影響で、人材の確保・育成が重要な課題になっている、②エージェンシーでは、地域内の自治体職員や民間企業関係者、子ども・若者を対象にした教育事業に力を入れており、専門の部門を設置し、多様な教育プログラムを提供している、③あわせて、エージェンシー自身は、職員の専門性等の強化を図るために、継続教育の受講を積極的に推奨しており、一定の時間内で仕事の一環として教育プログラムを受講し、その費用もエージェンシーが負担する制度を整備している、④加えて、自らの人材を確保するために、社会人向けの教育プログラム受講者に対して就職のオファーを出すような取り組みも実施している。 国内では、脱炭素地域づくりの活発化に伴い、NPOなどの民間セクターを中心に中間支援組織に対する関心も高まっているが、国・都道府県等の政府系セクターの動きは引き続き鈍い状況にある。しかし、自治体が関与して設立された地域新電力の一部で、自治体のエネルギー政策に対してきめ細かい支援を行う組織が見られるなど、実質的に中間支援組織としての活動を展開する存在が国内でも現れ始めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
先述したように年度後半は国外・国内の関係者を対象にしたインタビュー調査を再開することができたが、2022年度も新型コロナの影響を受けて、当初計画していた調査を十分こなす状況には至っておらず、進捗はやや遅れている状況にある。特に、海外調査については、オーストリア以外の国での調査がほとんど実施できていない。昨年度に続き、代替措置としてオンライン形式の調査を実施したが、得られる知見などは現地訪問型と比較すると少なく(活動の現場・雰囲気を把握することができない、予定外の質疑・意見交換などに発展しづらい)、同調査の限界を認識することにもなった。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は、本研究課題の最終年度として、欧州ならびに日本国内で活動する関連分野の中間支援組織を対象にした事例調査ならびに調査結果のとりまとめに取り組む予定である。 欧州での調査については、これまで重点的に調査を行っているオーストリア以外(ドイツならびに北欧を予定)の国を訪問し、エネルギー・エージェンシーの体制整備、活動などについて調査を行う予定である。 国内では、京都府地球温暖化防止活動推進センターならびに同団体が深く関与する形で新たに設立された地域新電力会社「たんたんエナジー株式会社」を対象にした参与観察調査も継続して実施するほか、国内各地で中間支援組織の構築・強化に取り組む関係者との意見交換を実施することを予定している。 これらと並行して、書籍・論文等の原稿執筆など、研究成果のとりまとめ作業も進めていく。
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Causes of Carryover |
2022年度も新型コロナウイルスの影響により実施できなかった欧州ならびに国内での現地訪問型インタビュー調査の計画があり、その影響で関連する旅費を使用しなかったため次年度使用額が生じた。 現在のところ、2023年度の前半のうちに上記の昨年度実施できなかった調査を実施する予定である。
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Research Products
(9 results)