2020 Fiscal Year Research-status Report
Compactness Evaluation for Urban Environment Improvement in the Metropolitan Areas in eastern Asia Countries
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18K11749
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
山本 佳世子 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 教授 (60311445)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 都市密度 / 居住環境 / コンパクト性 / GIS / リモートセンシング / 大都市圏 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は評価段階(他の東アジア諸国対象)とし,中国(北京,上海),韓国(ソウル),台湾(台北)という大都市圏を評価対象として,以下の研究を遂行した. 段階1.電子地図ビッグデータのデータベースの構築:(1)本研究の解析・評価に必要な衛星画像地図データを新たに収集し,GISとリモートセンシング技術によりこれらを本研究で利用可能な電子地図データの形式に加工し,データベースを構築した.またこのデータベースに,2018年度の段階2の予備調査結果や収集したデータを付加・統合化することにより,データベースの充実を図った.(2)(1)で整備したデータベースを基に,各大都市圏において予備的な解析を行った. 段階2.GISとリモートセンシング技術を利用したコンパクト性評価:(1)前段階の都市密度指標及び居住環境指標を用いて,各大都市圏全域における都市密度評価,居住環境評価を行った.(2)(1)の評価結果を基に,中心部からの距離帯ごとに100mメッシュ単位などの地区単位の詳細な空間スケールで,都市密度及び居住環境質の特性を把握した.(3)(1)と(2)の結果を基に,(2)と同様な空間スケールでコンパクト性評価を行い,評価結果を中心部からの距離帯ごとに整理した. 段階3.評価結果の分析・考察:(1)前段階の各大都市圏における評価結果を比較・検討した上で,各大都市圏内で現地調査,参考資料の収集をそれぞれ行って補足・確認し,各大都市圏間で差異が生じる原因についても分析・考察した.(2)また本研究の評価結果と研究代表者の既存研究成果を踏まえて,わが国の各評価対象地域におけるコンパクト性の特性をそれぞれ把握した. 段階4.評価結果のまとめ;年間の全体の研究成果について見直した上で,評価結果を取りまとめた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度は評価段階(他の東アジア諸国対象)して,段階1では,基礎データを収集して電子地図ビッグデータのデータベースを構築・充実化し,各大都市圏において予備的な解析を行った. 段階2では,わが国の代表的な大都市圏である東京,中部,京阪神を国内での評価対象地域として,都市密度指標及び居住環境指標を用いて,都市密度評価,居住環境評価を行った.これらの評価結果をもとに,中心部からの距離帯ごとに100mメッシュ単位などの地区単位の詳細な空間スケールで,都市密度及び居住環境質の特性を把握した.また,空間スケールでコンパクト性評価を行い,評価結果を中心部からの距離帯ごとに整理した.段階3では,各大都市圏間で差異が生じる原因についても分析・考察するとともに,わが国の各評価対象地域におけるコンパクト性の特性をそれぞれ把握した.最後に段階4では,国内の三大都市圏における評価結果を取りまとめた。 以上の進捗状況を考慮して,(2)おおむね順調に進展していると判断する.
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は総括段階として,以下の研究を遂行する. 段階1.評価結果の総括と改善策の提言:(1)過去2年間に行った評価結果の分析・考察を総括した上で,GISを利用して各大都市圏のコンパクト性の詳細な特性(コンパクト性の程度,集中・分散・偏在などの分布状況)を把握する.この把握結果を基に,本研究の対象としたわが国及び東アジア諸国の大都市圏のコンパクト性の比較を行い,各大都市圏の詳細な特性をそれぞれ明示する.(2)過去3年間における現地調査結果や,これまでに収集した都市・地域計画,環境計画等に関する参考資料を参照し,(1)の結果を基に各大都市圏全域における土地利用・空間利用計画の妥当性についても検討する.(3)研究代表者のこれまでの国内外での調査結果と本研究成果等を基に,大都市圏全域での都市環境向上のために,中心部のコンパクト性が高い地域では過度な高密度化を防止するための居住環境整備施策,郊外部のコンパクト性が低い地域では都市的土地利用の無秩序な拡大の抑制などのコンパクトシティ誘導施策となりうる都市・地域計画制度上の導入可能な改善策を,GISを利用して地区単位で的確に選択して具体的に提言する. 段階2.研究成果のまとめ:全体の研究成果について見直した上で整理し,研究成果を取りまとめた冊子を作成する. 段階3.研究成果の発表:以上の一連の研究成果を基に,国内外の学会での研究発表,研究論文の投稿を行う. 段階4.今後の研究課題の抽出:国内外の学会での研究発表,研究論文の投稿を行った結果から,他の研究者の意見やアドバイス,コメントを積極的に取り入れ,今後の研究課題を明らかにする.また一連の研究成果に関する問題点が抽出できるならば改善し,次のステップにおける新規の研究構想に活かす.
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Causes of Carryover |
世界規模でコロナウィルス対策が取られたため、発表予定の国内外の学会が中止または延期となったり、オンライン開催となってしまい、参加登録費が無料になった。そのため、予算立案時に支出を予定していた旅費、参加登録費、英語論文の校閲費が不要となった。
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