2023 Fiscal Year Annual Research Report
A Study on the Design of a Consensus Building Framework for International Action on Climate Change: Focusing on the Relationship between Developed and Developing Countries
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18K11756
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
新澤 秀則 兵庫県立大学, 社会科学研究科, 教授 (40172605)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今井 晴雄 兵庫県立大学, 社会科学研究科, 客員研究員(教授) (10144396)
秋田 次郎 東北大学, 経済学研究科, 教授 (10302069)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | パリ協定 / 国際的合意形成 / 先進国対途上国 / 国際交渉の動学性 / 経済理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
国際的な気候変動対策として新たに採択されたパリ協定は、京都議定書の経験をふまえて、新たな試みを含んでいる。そこで本研究では、研究期間中に合意するであろうパリ協定の実施ルールとその運用をふまえ、第1に、それらの新しい試みの成否について検討する。第2に、地球環境にかかわる国際交渉が、何段階もの交渉が積み重ねられたプロセスの産物であり、元来動学的な問題であることをふまえ、パリ協定がもたらす長期的な目標達成インセンティブを、動学的な交渉分析によって解明する。特に、途上国と先進国の対立の構図としてとらえた場合の、交渉がもたらすそれぞれの利害関係に焦点を当てた。 第1の目的に関して、①パリ協定のもとで各国が提出した多様な緩和貢献目標の多くが、その達成を検証するのが難しいものであることを明らかにし、改善すべき点も明らかにした。②緩和貢献目標の段階的強化について、緩和貢献目標の合計とその実施について評価を行うプロセスを観察することができた。その評価が次期の各国の緩和貢献目標にどのように反映されるかは、2024年になってから観察可能になる。③実施ルールの合意が遅れたパリ協定第6条の市場メカニズムについて、京都議定書の3つの市場メカニズムと異なる点をその理由とともに明らかにした。最終年度は、②を重点的に実施した。 第2の目的に関して、多段階交渉では,より高い便益をもたらす効率的排出量削減タイミングが交渉国間の衡平と衝突して必ずしも実現しない。この傾向が,①削減義務が非対称(京都議定書型)な交渉では,相対的に対称的(パリ協定型)な交渉と比較して,また②段階的交渉を余儀なくされる場合には,一括交渉可能な場合と比較して,より顕著となりうることを,当初モデルの再検討を通じて見通すことができた。付随した理論分析も行った。
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Remarks |
Haruo Imai,"Bargaining and Rent Seeking: Asymmetric Equilibria with Pure Investment Strategies" Discussion Paper Series No.2024-01, 同志社大学ライフリスク研究センター.
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