2021 Fiscal Year Research-status Report
Consumers' participation mechanism in co-partnership associations of organic agricultural products-Comparative analysis between "Teikei" in Japan and Food-collectives in the Netherlands
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18K11760
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
根本 志保子 日本大学, 経済学部, 教授 (70385988)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 倫理的消費 / 有機農産物 / 産消提携運動 / 日本とオランダ / 社会経済思想 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、社会公正の実現や地域経済、環境保全への配慮などの倫理性を、消費という経済行為に埋め込む方法の考察を目的とし、日本およびオランダの有機農産物の産消提携グループ(消費者が生産・流通に直接関与する会員制の環境保全型農産物流通システム)の比較および参加消費者から収集したデータを分析するものである。 2021年度は、これまで行なった国内の対面インタビュー調査と収集資料のとりまとめを中心に研究を継続した。加えて、産消提携運動の初期の思想的指導者の社会経済思想を思想史研究としてもまとめ、同運動を消費者による「買い支え」すなわち「倫理的消費」のルーツの一つ、「環境消費者運動」として再定義するための研究を追加した。 成果の一部は、倫理的消費の実践のフィールドワークおよびその分析と環境経済思想の整理を行ない、「『生の循環』構築のための責任ある消費者―産消提携と倫理的消費」橋本努編著『ロスト欲望社会-消費社会の倫理と文化はどこへ向かうのか』勁草書房、第5章および学術論文「一樂照雄の社会経済思想と日本の有機農産物『産消提携』運動」(『日本経済学会誌』、査読つき)を掲載した。また消費者運動と環境保全的な財の供給と消費についての環境経済思想を「岡田米雄の社会経済思想と1970年代の産消提携運動-「生産者と消費者の自給農場」構想と自然・人間疎外」として日本経済学史学会2021年大会にて発表、加えて消費者インタビューに基づく収集データの分析を日本有機農業学会にて「食と環境の提携運動への参加動機と消費者倫理-日本とオランダの消費者4団体のインタビューデータ」として発表した。より広い環境消費者運動についての実態把握のため市場型の環境消費者運動との比較についても調査を継続中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2018年度~2019年度末までは、①日本および欧州の有機農業運動に関する歴史および実践団体に関する文献調査、 ②日本およびオランダの産消提携団体の事業調査 、③日本およびオランダの産消提携団体の消費者への対面式のアンケート調査を開始した。このうち日本については、1970年代から続く2つの産消提携団体について、設立の経緯、活動理念と活動実態およびその変遷、日本の有機農業運動史における位置づけなどについて、既存研究、一次資料、運営事務局等へのインタビューなどにより、情報収集をしていた。しかし2020年度~2021年度にかけてのコロナ禍により、海外(オランダ)はもとより、日本国内での調査団体での調査と消費者会員インタビューが中断した。海外(オランダ)での調査対象については、メールおよびオンライン(Zoom)も検討したが、これまで団体の活動場所で消費者会員を対象に直接交渉しながら収集していたインタビューデータを、事務局等を通じてそれぞれと個別につながりながら交渉することが難しいため、海外での継続調査は2年続けて延期中である。2022年度現在も状況を見定めている。予定していた調査は大幅に遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度までに収集した文献、インタビューデータをもとに成果をさらに論文として発表する。ただし2019年度末から続くコロナ禍のため、当初予定していたオランダへの渡航はもとより、国内でのフィールドワークのほとんどを延期することとなった。調査はZoomや電話・メールなどで続けているが、旅費での支出がなくなったため、次年度使用額が大幅に増加した。 2022年度以降、海外でのコロナウィルス感染状況の改善や職場での出張許可状況をみながら、海外での対面でのフィールドワークを再開する。それに伴う研究費使用を計画している。また文献調査での情報収集割合を高め、そのための研究費も使用計画中である。
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Causes of Carryover |
2019年度末から続くコロナ禍のため、当初予定していたオランダへの渡航はもとより、国内でのフィールドワークのほとんどを延期することとなった。調査はZoomや電話・メールなどで続けているが、旅費での支出がなくなったため、次年度使用額が大幅に増加した。 2022年度以降、海外でのコロナウィルス感染状況の改善や職場での出張許可状況をみながら、海外での対面でのフィールドワークを再開する。それに伴う研究費使用を計画している。また文献調査での情報収集割合を高め、そのための研究費も使用計画中である。
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Research Products
(5 results)