2022 Fiscal Year Annual Research Report
Encounters between Indian - Embracing Buddhists and Tibetan Buddhists in Exile.
Project/Area Number |
18K11780
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
榎木 美樹 名古屋市立大学, 大学院人間文化研究科, 准教授 (60782927)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 改宗を経たインド人仏教徒 / 亡命チベット人 / 協働・連携 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度の成果としては、単独定住地としては最大規模の亡命チベット人定住地ムンゴッド(カルナータカ州)において、定住地における観光開発および若年層の就業支援、2014年のチベット人へのリハビリテーション政策(Tibetan Rehabilitation Policy 2014)に基づく定住地住人への土地調査の経過などを調査した。 亡命チベット人が設立したNGOからは、「3つのアプローチ」(水利・灌漑管理、健康・公衆衛生の向上、若年層就業支援)を基礎とした定住地発展計画につき聴取した。 地元のインド人仏教徒活動家からは、仏教に改宗した経緯、チベット人との接触、インドの被差別層および仏教徒が直面している社会課題について聞き取り、地元のインド人中間層とチベット人を架橋する観光を通じた交流・支援について調査した。 研究期間全体の成果としては、インド人仏教徒と亡命チベット人の協働連携の歴史的経緯を整理することができた。チベット人が大量にインドに流入した1960年代から、インドにおいては政治家や社会活動家が国家安全保障の観点および両国の歴史的・文化的つながりを拠り所に、チベット難民を受け入れ支援する体制が存在した。インドNGOのMYRADAも、いち早くインドにおける定住・生活再建をめざすチベット難民の自立支援を実施した。喫緊の難民受け入れと自立支援に目途がついたとされる1970年代以降、印中の外交問題もあってインド人とチベット人の交流は量や質の面から相対的に減少するが、1990年代ごろからインド人仏教徒からの接近や、亡命チベット政府を中心とするインド・チベット支援グループ活動の活性化を通じて、両者は協働してデモやイベントを実施し、民間レベルでの人的交流を活性化させるようになってきた。この時の連携の旗印となるのは、「ヒマラヤの保全(安全保障と環境)」と「チベットの伝統・文化の保守」である。
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