2019 Fiscal Year Research-status Report
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18K11783
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Research Institution | University of Nagasaki |
Principal Investigator |
祁 建民 長崎県立大学, 国際社会学部, 教授 (70448819)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 水質汚染 / 環境問題 / 環境政策 / 権威主義 / 中国農村 |
Outline of Annual Research Achievements |
東京大学総合図書館と東洋文化研究所図書室や、京都大学図書館、広島大学図書館にて中国華北地域特に山西省、河北省の水利史、政治史関係の資料を収集した。 中国における現地調査は、山西省霊石県、交城県、太原市にて汾河流域の水利環境問題を調査し、資料を収集した。また、青海省西寧市、甘粛省蘭州市にて、黄河上流地域の水環境、水土の流失問題を現地調査を行い、資料を収集した。比較研究のために、江西省南昌市の長江流域の水汚染問題を調査した。山西大学、蘭州大学と江西財経大学の地方史研究者と意見交換を行った。 現在、中国農村部における水質汚染を状況を把握する上で、中央政府の環境政策と地方当局の経済発展優先政策間の矛盾を分析し、伝統的な水利集団と水利慣行も研究している。中央の厳しく環境状況監督の下で地方政府と企業の対応をめぐって調査を行った。 また、地域経済発展と農民の都市への移動との関係、1949年以来中国政府の水利政策より伝統的水利集団への影響についても研究した。以上のような現地調査資料と研究成果をまとめて、雑誌論文と本を執筆し、併せて8点が発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
まず、資料収集は、日本国内と中国における華北地域を中心とする水利史、政治史資料を順調に収集している。民間資料、県志、地方史資料、公文書などを幅広く収集して、水利環境状況及びその政策や、中央政府の環境政策と地方の対応との関係について明らかにするようになった。 次は、中国華北、西北及び長江流域での現地調査も順調に進んでいく。農村部に入り、現地の状況を視察し、地元住民や地方幹部への聞き取り調査を行い、山西大学、蘭州大学、江西財経大学の研究者と交流できる。今年は、地域間の比較のために、江西省南昌市を訪問し、長江流域の水質環境状況に関する調査が実現した。 現段階、続いて農村部の水質汚染状況を把握し、中央政府と地方政府の対応、特に中央政府の環境政策と地方政府の経済政策間の矛盾を分析し、その政治体制の問題点を研究している。 以上の調査資料をまとめ、さらに現地調査の結果を加えて、中国における水質汚染問題と権威主義体制との関係を明らかにしようとする。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、日本国内と中国における華北地域を中心とする水利史、政治史資料を収集する共に、西北地域と長江流域の資料も収集する。特に現在地方政府の環境政策関連資料を収集する。 研究地域は、華北、西北の海河流域と黄河流域に現地調査も必要である。特に黄河流域の下流地方(山東省)、長江流域の上流地方(重慶)、下流地方(浙江省)の水質汚染状況と地方政府の環境政策を調査する。浙江省は現在中国政府の農村環境改善のモデルとされ、この地域に対する調査が必要である。中国政府の環境機関、地方環境機関で公表する水質汚染事件に対して、追跡調査を行い、現地に入り、環境事件の真相を明らかにし、その事件をめぐる政治体制の問題を分析する。現地調査をする際に、地元住民、地方幹部、環境保護組織のメンバー及び企業家に聞き取り調査を行う。 続いて、権威主義体制に関する先行研究を整理し、この理論の到達点と問題点を明らかにして、中国水質環境問題に関する研究の枠組みを再構築する。
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Causes of Carryover |
2020年3月はコロナウイルス肺炎の影響で現地調査は実施できなかった。現地調査の旅費は残った。
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Research Products
(8 results)