2022 Fiscal Year Research-status Report
China's State-led Development and Politics of Buddhism in Nepal-Himalaya Region
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18K11786
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Research Institution | Komazawa University |
Principal Investigator |
別所 裕介 駒澤大学, 総合教育研究部, 准教授 (40585650)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | チベット仏教 / ネパール・ヒマラヤ / 領域主権国家 / 国境開発 / 中ネ関係 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は夏季と冬季の休暇中に、2年半に渡って中断していた南アジアでのフィールドワークを再開することが出来た。二度の現地調査ともに、カトマンドゥ北方と中国国境との間に広がるヒマラヤ仏教の土着的体系とそれを再編しようとする都市型近代仏教の関係を実地で踏査し、国境地帯における仏教再編運動の近代的特質について多角的な調査資料を得ることができた。また、年度内を通じて、上記現地調査の内容を含む複数の研究成果の公表に努めた。そのプロセスは以下の2点にまとめることができる。 1)現地調査:これまでの現地調査資料の不足を補うため、17世紀以来ヒマラヤ山間部で活動する拠点僧院と村落共同体の関係について、のべ40日間におよぶ訪問調査を実施した。調査では、ここまで蓄積した同地の歴史資料から得られた前近代の宗教状況に関する知見を前提として、国王廃位後の社会変化をふまえた信仰実践の現状を、①外来のラマ、②在地のラマ、③在地信徒、という3つの視点からそれぞれ把握する作業を進めた。 2)研究報告:上記の調査にかかる研究報告を、国内外の国際シンポジウムや学術大会に場を借りて年度内に計4回行った。このうち7月にはプラハのカレル大学で開催された第16回国際チベット学会で研究報告を行ったほか、「宗教と社会」学会(6月)、広島大学の国際セミナー(11月)、民族学博物館の国際シンポジウム(11月)で順次研究報告を行い、関連の研究者との情報共有と意見交換を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度では、大幅に遅れていたフィールド調査を集約的に展開できたことにより、本科研課題で必須となる現地渡航を前提とした研究資料の蓄積を精力的に進め、ここまでの遅滞を大幅に挽回することができた。また、現在南アジアではCovid19のパンデミックによる停滞を抜け出し、社会活動が正常化しているため、次年度夏季に追加の補足調査を行うことで、当初期間中に予定していた研究資料をおおむね完備することができる見通しである。 特に前記1)の現地訪問調査によって、従来、近代国家による領域統合によって不活性化されたと考えられてきたヒマラヤ仏教圏が、ディアスポラのラマを主体とする改革運動の推進によって広域的に再編されつつある実情をつかむことができたことは大きな成果である。また、前記2)の学会活動を通じて、国境地帯における仏教徒マイノリティの動態について他地域の研究者と知見を共有することで、自身の調査地の現状について総合的な視点を得ることができた。 以上を踏まえ、今年度の活動を通じてここまでの遅延はほぼカバーすることができており、次年度に行う最終成果の取りまとめに向けて十分な資料の蓄積を進めることができた。なお、今後もし再び感染症などのリスクが大規模に広がった場合に備え、現地インフォーマントとの間でSNSを通じた連絡手段を確立しており、現地渡航が難しくなった場合にはそうした手段を活用して柔軟な対処を試みたい。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は夏季に最後の追加調査を行い、当初予定していたフィールドワークの実施期間にほぼ近い調査日数を確保する予定である。また、次年度後半には、中国の南アジア進出に伴う地域開発の持続可能性を「在地仏教の扱い方」から相対的に捉えるという本科研課題の所期目標を総括するため、ここまでの研究成果全体の取りまとめを進めるとともに、国内外の学会やセミナーに参加し、多角的な視野からの研究成果の捉え返しを進めていきたい。また、次年度内には、デリーのRoutledge社から、現代仏教研究の論集シリーズ内で、本科研の「仏教外交」研究の成果が分担執筆として公刊される予定であるため、次年度にはそうした成果公開もふまえた海外での研究成果還元に努めていきたい。 最終年度となる次年度では、以上の活動を通じて、国内外の関連領域の研究者と精力的に情報共有を進め、多角的な知見を集約することで、最終成果の取りまとめにつなげていきたい。
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Causes of Carryover |
今年度の助成金の主要費目は海外渡航費用であるが、この分を丸ごと、最終渡航となる次年度夏季の現地調査費用へ充当するため。
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