2021 Fiscal Year Annual Research Report
Empirical Research on Transitions of Protest Styles and Qualitative Changes of Movements in Contemporary Germany
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18K11787
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
井関 正久 中央大学, 法学部, 教授 (20343105)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ドイツ抗議運動 / 68年運動 / 旧東ドイツ市民運動 / 反原子力運動 / 右翼ポピュリズム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はドイツにおける左翼と右翼の抗議スタイルの変遷とその過程で生じた両陣営間の相互作用、および運動の社会への影響という問題について、新左翼系抗議運動の出発点と位置づけられる68年運動まで遡り、現在のSNSを駆使した新しいタイプの抗議運動までを視野に入れて、実証的に取り組むものである。本研究は従来の左翼運動中心の社会運動研究にはなかった新たな視点を与えるものになると期待できる。 2021年度は、東西ドイツ時代の抗議運動および近年大きな動きを見せた右翼ポピュリズムの運動、反原子力運動、さらに現在ドイツで展開されているコロナ対策への抗議運動について幅広く資料・情報の収集をおこなった。 夏季休業期間中にはドイツにわたり、まずハンブルク社会研究所で、西ドイツの1960年代の学生運動に関する一次資料を収集した。そして反原子力運動が盛んなリュヒョウで、ゴアレーベン資料館のビルギット・フーネッケ氏、およびリュヒョウ・ダンネンベルク郡環境保護市民運動団体のトーベン・クラーゲス氏に対して、ゴアレーベンが高レベル放射性廃棄物最終処分場の候補地から外れた2020年9月以降の反原子力運動の動向に関する聞き取りをおこなった。さらに、現在、中低レベル放射性廃棄物最終処分場をめぐる論争の中心となっているザルツギッターで、地元の有力な市民運動団体シャハト・コンラート・ワーキンググループを訪問し、活動家のジルケ・ヴェストファール氏、シュテフィ・シュレンゾーク氏に聞き取りをおこなった。コロナ禍でのドイツ社会運動の最新事情に関する一次資料は、聞き取りを含めて、たいへん貴重なものとなった。 帰国後は新たに収集した資料を中心に論文「COVID-19パンデミック下のドイツにおける抗議運動」を執筆し、同論文は中央大学法学会編『法学新報』第128巻第9号に掲載された。
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