2020 Fiscal Year Research-status Report
Study of the Communication Network of the Multiethnic Solidarity Society in Riace in Southern Italy
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18K11788
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
中挾 知延子 東洋大学, 国際観光学部, 教授 (70255024)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柏崎 梢 東洋大学, 国際学部, 助教 (40735594)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 多文化共生社会 / 社会ネットワーク分析 / リアーチェ / 連帯ツーリズム / 南イタリア / カミーニ |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、リアーチェとカミーニという隣接するコムーネ(村)での連帯ツーリズムの現状について比較を行った。多文化共生社会で有名なリア―チェは,持続可能な共生社会のための連帯ツーリズムを進めてきたが、カミーニに比べるとあまりうまくいっていない。そこで,社会ネットワークでのバランス理論を用いて、双方の村のコミュニケーションネットワークについて原因の分析を試みた。連帯ツーリズムとは、訪問客とホスト住民との連帯を築くことで、ホストコミュニティの経済・文化・社会面の利益を最大化するという観光形態である。双方の村での主な活動は、ホスト住民と移民の住民との共生社会を円滑に維持するためのボランティアのボランティア活動である。村における連帯ツーリズム推進団体・ホスト住民・移民の住民・ボランティア(訪問客)の社会ネットワークを考えることで、カミーニでは順調に進んでいる連帯ツーリズムが、リアーチェではそうではない理由を説明することを行った。成果は情報処理学会に研究報告として論文を発表した。 加えて、2016年にイタリア人ライターが出版したリアーチェの共生社会のドキュメンタリー本の翻訳を行った。ドキュメンタリーの内容が、研究で対象にしている題材と大変親和性があることや、ドキュメンタリーとはいえど、学者以外の人々が読んでも面白い物語風になっており、リアーチェの多文化共生社会を日本でもより多くの人々に知ってもらいたいと考え出版した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は、コロナ禍で海外出張ができず、現地でのインタビューやアンケートはできなかった。現地で依頼してネットを介して送ってもらおうとしたが、イタリアのコムーネではロックダウンしている時期が不定期に繰り返され、依頼者による調査活動は不可能であった。社会ネットワークで実証しようとすることが、経年データであり、2019年度までのデータは持っているが、2020年度のデータがないため社会ネットワークや数理モデルを適用する際にできない箇所が生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度延長ができたため、コロナの感染状況と大学での出張許可の如何によるが、リアーチェを訪問して、残りのデータを収集予定である。 ただし、過去2年間のデータから、興味深い知見も得られていることから、得られた箇所までのまとめをして、行ったところまでの総括をしたい。 さらに、リアーチェの多文化共生社会モデル(リア―チェモデル)は、他の地域にも適用可能であることから、国内外の地域での実践をサーベイすることで、リアーチェモデルとの比較も通じて、適用可能性を研究していく。
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Causes of Carryover |
コロナ禍で海外出張ができず、現地調査ができなかったため。 コロナ感染状況と大学での出張許可の状況を見つつ、現地調査を行う。 2021年8月と2022年2月か3月の学生の休暇期間に、カラブリア州リアーチェとその周辺のコムーネを再度訪れて、約2週間の現地調査を予定している。調査では、リアーチェ村のドメニコ・ルカーノ首長が退任後にどのような変化が起きたのかについて、現地住民へのヒアリングと、周辺の隣接するコムーネの住民にその変化に伴い、波及効果があったのかについてヒアリングをする。また、リアーチェモデルを適用した隣接するカミーニ村については、モデルが産み出した成功例としての連帯ツーリズムについて、現地のNGOに詳しくヒアリングを行う。得られたデータをもとに、リアーチェにおけるコミュニケーションネットワークの分析と、リアーチェモデルの評価と今後の改善点について考察する。
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