2022 Fiscal Year Annual Research Report
Study of the Communication Network of the Multiethnic Solidarity Society in Riace in Southern Italy
Project/Area Number |
18K11788
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
中挾 知延子 東洋大学, 国際観光学部, 教授 (70255024)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柏崎 梢 関東学院大学, 国際文化学部, 准教授 (40735594)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 多文化共生社会 / 南イタリア / リアーチェ / 社会ネットワーク / カラブリア州 / ソーシャルキャピタル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、南イタリアのイオニア海沿いの小さな共同体リア―チェで、多文化共生社会がどのようにうまく機能しているのかを明らかにすることを行った。2017年夏から続けてきたリアーチェの現地調査はコロナ禍で実施できなかった期間を除くと6回実施した。研究方法として、リアーチェにおける社会ネットワーク調査とインタビューを行った。リアーチェの住民132人、現在リアーチェには住んでいないが、行き来している周辺の共同体の住民132人を合わせて合計264人にアンケートを行った。インタビューは期間中延べ30人に行った。社会ネットワーク調査とインタビューを合わせて行うことで、多文化共生社会を成功させている以下の要因が明らかになった。 1)共同体の首長ルカーノ氏のリーダーシップ、2)7団体に及ぶ移民定住支援組織の存在、3)ボランティアによるイタリア語の言語サポート、4)移民の受入れのための空き家の提供、5)地元住民と移民との協働による仕事の提供、これらが地元住民と移民との社会ネットワーク形成に多大な影響を与えていることが分かった。 一方で、いくつかの問題点も浮き彫りになっている。1)ルカーノ氏のリーダーシップが強すぎるゆえに後継が育たない、2)南イタリア固有の政治不安といった点である。しかしながら、ルカーノ氏が築いていたリアーチェの多文化共生社会は「リアーチェモデル」として周辺の自治体カミーニでの連帯ツーリズムをはじめ、フランスの自治体にまで影響を及ぼしており、このモデルをさらに探求していく価値は十分にあると考える。2020年以降のコロナ禍で、リアーチェに移入してきた移民や難民の多くは、経済基盤を失って他の土地に移っていったが、共同体の中には定住に成功した移民もおり、自立化も進み、現在SNSなどで情報共有を自身の出身国地域にしながら、今後リアーチェに移民が以前のように増えていくことを企図している。
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Research Products
(1 results)