Ethnoprimatological study on the dynamics and factors of mixed-species associations of Macaca species in Hong Kong

2022 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 18K11795
• Research Institution: Kyoto Sangyo University
• Principal Investigator: 足立 薫 京都産業大学, 現代社会学部, 准教授 (10802150)
• Project Period (FY): 2018-04-01 – 2024-03-31
• Keywords: ヒトと動物の関係 / エスノプライマトロジー / 民族霊長類学 / マカク属 / 混群

Outline of Annual Research Achievements

COVID-19感染症拡大の影響により、香港、新界地区での現地調査は年度当初から秋までは実施ができなかったが、入境規制が緩和された2023年2月以降に調査を再開した。現地の研究協力者とミーティングを行い、調査休止期間の状況と今後の見通しに関する情報共有を行った。
これまでに蓄積した混群のアクティビティーや移動経路のデータ分析から、2種のマカクザルは当初考えていた以上に種間雑種形成が進み、種の判別がほぼ不可能であり、異種が集まる混群の動態を調査するのは困難なことが分かった。そのため、混群の形成動態とその要因を理解するためには、現在観察できるマカク属の行動データだけでなく、導入当初からの個体群の変遷および雑種化の過程から明らかにする必要があり、香港政府の公文書館を利用し収集した文書資料に加えて、オンラインアーカイブを用いて香港の自然についての歴史資料を収集した。行動データと文書データの双方から、異種間関係の歴史的な変遷過程に注目し混群関係成立の要因を考察した。野外霊長類学的手法に加えて、地域でマカク属のサルに関わる人間や、管理・研究を行う人びとからの聞取りを基本とする民族誌的手法、さらにアーカイブ・データを活用したデジタル・ヒューマニティーズの手法を用いることで、独自の民族霊長類学的研究を行った。
これまでに得た結果を、人新世の環境概念のもとで分析した論考を論文集の分担執筆として発行した。また、混群の動態と社会的性質の進化についての論考を、英文書籍の分担執筆として公開した。

Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

理由COVID-19感染症拡大の影響により、現地調査を行うことができずデータ収集に遅れが発生している。一方で、国内で複数種の動物を対象にヒトと動物の関係にかかわる資料を収集し比較分析する過程で、野生動物とヒトの関係についてより包括的な視点から考察する必要性を認識し、パンデミックを経験した現代社会の問題としての動物―ヒト関係という新しい研究の端緒を得ている。

Strategy for Future Research Activity

今後これまでに得た現地調査の資料の詳細な分析を進めるとともに、文書資料の追加調査を実施したうえで、民族霊長類学的な視点から霊長類学、民族生物学関連の国内・国際雑誌で成果を報告する予定である。

Causes of Carryover

2022年末まで現地調査が実施できなかったため、データ収集に遅れが生じた。このため、年度内の成果発表が実施できず、費用を繰り越した。今年度末までに収集したデータをもとに2023年度に英文での成果公開目指し、英文校閲費用の利用を計画している。

Research Products

• [Book] Extremes (2023)
  • Author(s): Kaori KAWAI, Kaoru ADACHI, Noriko ITOH, Keiichi OMUA, Yuji TAKENOSHITA, Michio NAKAMURA, Shunkichi HANAMURA, Hitonaru NISHIE, Ryoko NISHII, Ikuya TOKORO, Toru SOGA, Takeo FUNABIKI, Koji KITAMURA, Motomitsu UCHIBORI, Masakazu TANAKA, Naoki KASUGA, Suehisa KURODA, Yuko SUGIYAMA 他
  • Total Pages: 616
  • Publisher: 京都大学学術出版会
  • ISBN: 9784814004799
• [Book] たえる・きざす (2022)
  • Author(s): 伊藤詞子（編著），足立薫，四方篝, 藤澤奈都穂, 佐々木綾子，勝俣昌也, 神田靖範, 伊谷樹一，小林誠，，竹ノ下祐二，，竹川大介，風間計博，内堀基光
  • Total Pages: 344
  • Publisher: 京都大学学術出版会
  • ISBN: 9784814004409