2023 Fiscal Year Annual Research Report
Ethnoprimatological study on the dynamics and factors of mixed-species associations of Macaca species in Hong Kong
Project/Area Number |
18K11795
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
足立 薫 京都産業大学, 現代社会学部, 准教授 (10802150)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ヒトと動物の関係 / エスノプライマトロジー / 民族霊長類学 / マカク属 / 混群 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究期間中の2019年に香港では社会情勢不安が続き、さらに2019年末からCOVID-19のパンデミックに対して強い防疫対策が長期間行われたことにより、マカク属を対象とした現地調査の計画は大きな変更を迫られた。活動に制限がある中ではあったが、マカクザルの行動調査とサルの生息する郊野公園および周辺の住宅地域でのサルと人間の関係についての情報収集を効率的に行うことができた。予備的な遺伝子資料の解析や観察情報から、香港のマカク属の2種(アカゲザル、カニクイザル)は混血が進んでおり、過去の混群形成状況と異なることが確認できた。混群形成動態の歴史的変化について、香港の公文書館(歴史档案館:Public Records Office)の文献などを用いて、民族霊長類学の視点から検討した。2023年度はこれまでに築いたAFCD(香港漁農自然護理署)やOPCF(香港海洋公園自然保護基金)との協力関係をもとに、今後の香港でのマカクザルと人間の関係とその変容についての研究を継続する基盤を整備できた。これまでの成果をもとに、最終年度にはシンガポール国立公園局で混群現象から見たマカク属の民族霊長類学的研究についての講演を実施し、さらに、アジアの各地を対象とする研究者を招聘し、二つの科研費プロジェクトと共催でエスノプライマトロジーに関する国際シンポジウムをモデレートした。これまでの成果について、マルチスピシーズ人類学研究会やヒトと動物の関係学会において報告し、人類学や哲学などの異分野の研究者とも意見交換を行っている。当初の計画以上に混血が進んでいたことから、混群形成に人間の活動が与える影響については、直接観察による動物行動学的データによる分析を変更し、インタビューや文献資料を用いた民族霊長類学的手法に重点を置き、歴史的視点で成果をまとめて発表する予定である。
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