2018 Fiscal Year Research-status Report
災害や人道危機でのセクターを超えた協働が公共圏拡大に及ぼす影響
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18K11798
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
桑名 恵 近畿大学, 国際学部, 准教授 (80596073)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 人道支援 / 災害 / ネットワーク / マルチセクター / プラットフォーム |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度は、マルチセクターステイクホルダーによる協働の事例として、アジアパシフィクアライアンスのスリランカ、フィリピン、バングラデシュの事例についての現地情報の収集を、日本及びフィリピンの現地調査により実施した。フィリピンで開催された国際会議では、スリランカ、バングラデシュ、インドネシア、アメリカ、日本の防災関係者も参加していたため、アジア地域全般の動向をつかむことができた。どの国においても災害が増加し、社会的注目度は高く、その対応方法として、政府、企業、NGOの連携をさらに進化させていくことが求められている。マルチセクター連携を活用した災害対応が、ここ数年事例として積み重ねられていることが分かった。一方、災害対応の実績が強調される分、課題やマルチセクターの繋がりがその後の社会に与える社会インパクトについては、十分に認識される段階には至っていなかった。スリランカの関係者とは、災害対応後においてマルチセクターのネットワークがもたらすインパクトを分析するため、次年度調査分析の事例とする過去の災害の事例を検討し、分析が可能な資料などの確認を行った。インタビューを行う関係者への連絡の協力なども要請し、来年度前半に行うスリランカ調査の素地を作る機会となった。 また、人道支援や災害対応が公共圏拡大を促す要因として、対話を促進し組織間の協力を行う現地主体のネットワークが分析の鍵となるため、その基礎となる「人道支援の現地化」に関わる動向について、先行研究を集め、論文にまとめる作業を行った。さらに、社会ネットワーク 分析による調査方法の検討を行い、質的、および量的両面での調査を行う方針を固めた。 次年度は、スリランカおよび日本における災害対応や、日本の人道支援の事例を用いて現地主体のネットワークとの連携が現地社会にもたらす影響などをさらに分析していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度は海外での現地調査を行うにあたっての基礎文献を収集し、スリランカやフィリピンでの調査計画を練り、二年目の本格的なフィールド調査実施に向けての準備を行った。一方、東日本大震災の事例の情報収集については、調査範囲を定めてカンターパートの協力を得ながら調査範囲を絞る作業に着手できておらず、西日本豪雨の事例も含めて、調査実施可能な範囲を見極め、検討する必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
国内災害対応におけるネットワークの構築の動向については、5月中旬に全国災害ボランティア支援ネットワーク主催の第四回災害時の連携を考えるフォーラムに参加し、マルチセクターの連携の動き関わる最新の動向についての情報収集をを行う。この会議後、キーパーソンへのコンタクトを開始しつつ、新しく生まれた担い手についてインタビューを行い、ネットワーク構築の経緯、新たな公共圏拡大へのインパクトについて調査を行う。 スリランカでの現地調査については、治安が落ち着き次第実施する。
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Causes of Carryover |
本年度は、先行研究の分析や調査方法の分析に時間が割かれたため、現地調査を1回しか行うことができなかった。次年度に本年度実施できなかった調査分を含めて実施する予定である。
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Research Products
(1 results)