2018 Fiscal Year Research-status Report
東北アジアにおける温暖化対策と国際協力による環境経済影響評価分析
Project/Area Number |
18K11800
|
Research Institution | Hiroshima Shudo University |
Principal Investigator |
羅 星仁 広島修道大学, 人間環境学部, 教授 (00342311)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 健一 長崎大学, 水産・環境科学総合研究科(環境), 准教授 (00534570)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 地球温暖化 / 国際協力 / 風力発電 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、東北アジアにおける温暖化対策の違いの要因、および政策協調による環境・経済への影響を分析し、国際協力を促進する温暖化対策シナリオを提案することであった。 2018年度は日本・中国・韓国における国際協力を妨げる要因を考察するために、各国で実施されている温室効果ガス削減対策を調査した。また、国別温室効果ガス削減目標を中心に、各国における主な対策についても調査を行った。その際に、国際協力を通じて自国の削減目標の達成をどのように考えているのか、又は具体的な国際協力メカニズムとしては何を想定しているのかなどについて文献だけではなく、ヒアリング調査も行った。 もう一つの研究目的である地球温暖化対策の国際協調が自国そして他国への環境および 経済に与える影響を理論的・実証的に分析するためのモデルを構築することについては、既存のエージェントベースモデル(ABM)の構造や活用に関する文献収集を行った。また、応用一般均衡モデル(CGE)についても文献収集を行うとともに、本研究で使われるモデルのベースを構築した。 特に、日本と韓国における国際協力を想定し、各国の政策だけではなく、特定の分野(風力発電分野)における国際協力が両国にどのような影響を与えるかについては簡単なモデルを構築し、分析も行った。まだ、改善の余地があるため、研究成果は公表していないが、これからモデルを補完し、公表する予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画では、1~2年目は文献・ヒアリング調査を通じて国際協調を妨げる要因に対していくつかを仮説を立て、要因分析を行うとともに、既存の国際協調メカニズムとの違いも明らかにすることであった。そのため、日本、中 国、韓国における温暖化対策などに関する最新の情報を収集・分析することが必要であったが、計画通りに実施することができた。まだ、中国については不十分な部分はあるが、本年度において実施する予定である。特に、韓国においては、CDM プロジェクトの承認基準、発展の状況を考慮した国家政策および持続可能な発展の観点からの優先事業の選定、実施されたCDM 事業のパフォーマンスの評価などに関する最新の情報を収集・分析することができた。また、対象国における2020年以降の排出削減目標や国 際的な新しい枠組みの議論の動向に関する最新の情報を収集・分析することもできた。日本においても二国間クレジット制度について 最新の資料を収集・分析した。 モデル構築・分析については、1年目から基本的なベースのモデルの構築ができ、予定より研究は進展している。また、プロジェクトベースの温暖化対策の影響を分析するためのCGEを構築した上で、国際協調を踏まえた排出削減に関するいくつかのシナリオを設定・分析することもできた。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後の研究推進方策としては、当初の計画通り、モデルの構築とシナリオ分析を行う予定である。特に、ABMを構築し、国際協調を妨げる要因分析を行うことが重要な課題である。そのため、本年度は海外研究協力者との共同研究を行う予定である。3年目は、モデルの分析結果から、日本・中国・韓国における国際 協調を促進する新たな国際協力メカニズムを提案する。本研究は理論的なアプローチだけではなく、実証分析のため2つの異なるアプローチから構築されたモデルを用いることにより、頑健性の高い評価が可能となる。
|
Causes of Carryover |
昨年度は予定していた海外出張ができなかったので、2019年度に海外調査を行う予定である。
|