2018 Fiscal Year Research-status Report
A Basic Comparative research for the Traditional Pollution-Purification System in the Local Societies and its Contemporary Transformation
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18K11807
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
友常 勉 東京外国語大学, 大学院国際日本学研究院, 教授 (20513261)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ケガレ・キヨメ / チャマール / 商品論 / 皮革産業 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究計画の初年は、商品制社会とグローバル資本主義の起源と在地慣行の商品化を究明するためのシンポジウム「『マルクスと商品語』を読む」を2018年6月30日に東京外国語大学で開催した。ここでは著者である井上康・崎山政毅の両氏のほか、浅川雅己(経済学)、大橋完太郎(哲学)、真島一郎(文化人類学)、中村勝己(イタリア思想史、社会運動史)による合評会を通して、商品・商品制社会の成立についての理論的考察を行った。その成果は、書評論文「商品の反ラプソディックな実在論とラプソディックな革命論」としてまとめた(友常『夢と爆弾 サバルタンの表現と闘争』航思社、2019年に収録)。これによって、ケガレ慣行と商品化の原理的関係、およびサバルタン階級との関係についての理論的解明を進めることができた。つづいて、2018年8月6日から18日にかけて、インド・デリーおよびアグラにおいて、インドの皮革カーストであるチャマール(ジャターブ)身分の歴史と現在の皮革産業、カースト・コミュニティの調査を行った。その成果は「インド・アグラの靴・履物産業とチャマール 付・チャマール身分に対する差別とNational Dalit Movement for Justice の活動、ラフル・シン氏インタビュー」にまとめた(東日本部落解放研究所『明日を拓く』119号、2019年3月)。これによって、インドのケガレ‐キヨメ体制から展開した皮革カーストの歴史・現在についての概要を把握し、日本のケースと比較検討するための準備作業を進めることができた。また、移民・マイノリティの慣行維持という観点から、イーストロンドン大学フィル・コーエン名誉教授との共同研究という点では、日本女子大学で行われたシンポジウム「2020年オリンピック・レガシー再考」(2018年3月12日)にコメンテーターとして参加し、計画の目的を果たすことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度はインドの皮革カースト調査、商品制社会と前近代的ケガレ‐キヨメ慣行との関係、移民・サバルタン研究からの検証について進め、研究計画を十分に実現することができた。なお国内調査は研究計画二年目に持ち越ししたが、大阪・東京では予備調査を進め、愛知の皮革産業についても資料調査を進めている。こうしたことから、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画2年目である今年度は、インドからのゲストを招聘し、初年度の調査を踏まえて、インドと日本のケガレ‐キヨメ体制の比較検討を行う予定である(2019年7月を予定)。さらに、東京・大阪・京都・愛知での国内調査を進める(2019年8月‐9月)。年度末までに、これらの調査の報告論文を執筆し、学術雑誌で発表する予定である。
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Research Products
(3 results)