2022 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K11809
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
洪 郁如 一橋大学, 大学院社会学研究科, 教授 (00350281)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 少国民 / 植民地 / 戦後 / 教育 / ライフ・ヒストリー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はライフ・ヒストリー構築の手法で、台湾人「少国民世代」を対象に、台湾のみならず、米国、日本などを遍歴した彼ら/彼女らのライフ・コースを描き出すものである。「少国民世代」とは、日中戦争および第二次大戦中に小学生だった世代の台湾人であり、日本統治期の教育と戦争経験を原点にもちながら、戦後、中華民国国家の教育をも受けた世代である。本研究は東アジアの政治的・経済的変動に照らしながら、その歴史的経験の意義を解明していく試みである。 2020年3月から世界各地に拡大した新型コロナウィルス感染症は、三年近くまで尾を引き、海外渡航や各国の入国規制も続いていた。当初、実施を予定していたカリフォルニア州での現地調査も棚上げされたままとなった。2022年9月に入ると、調査目的地である米国と台湾への入国制限は徐々に解除されたものの、米国調査地で予定されたインフォーマントの健康状態により、聞き取り調査の再開は叶わなかった。一方、台湾現地での資料収集と学術交流は可能となり、また日本国内の資料収集と整理、成果の発表も比較的順調に進んでいる。 2022年度の研究実績は、以下の通りである。第一に、これまで実施したインタビューの文字化作業、第二に、内容や疑問点をインフォーマントにメールで問い合わせ、また文献と照らし合わせながら修正や補足を行った。第三に、台湾と日本を中心に、関連する回想録、刊行物を収集した。第四に、論文の公表と複数回の講演を行い、本研究の成果を積極的に発信した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
聞き取り調査は本研究の中心的位置を占めるが、パンデミックのため、実施困難となった。2022年度後半から再開の可能性を打診したが、90才前後のインフォーマントらの健康への不安があり、新規の実施を展開することができなかった。追加調査についても謝絶された事例が多く、現地渡航による対面調査は実現できなかった。また、オンラインによる実施も、音声問題や回線トラブルなどの問題がしばしば生じ、インフォーマントにかかる負担が想定以上であったため、既存データの内容確認に止まった。 研究の遅れを補うために、(1)これまでに蓄積したインタビュー資料の確認と精査、(2)回想録などの文献資料を用いて補強すること、(3)日本国内および渡航再開の台湾で、最新資料の収集および関連の研究者との交流を行なった。
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Strategy for Future Research Activity |
渡航制限の解除により、聞き取り調査の再開は可能となったものの、2023年度は期間延長後の最終年度でもあり、新規の展開は控え、以下の三つの方向に重心を置きながら研究の総括を行う予定である。(1)インタビュー・データの統合と整理:不明な点や欠落などを書面や電話などでインフォーマントに確認し、データ化作業を完了させる。(2)文献資料との整合:比較的順調に進んでいる資料収集の成果を用いて、インタビュー部分の不足を補強する。(3)成果の発表:論文、講演、資料紹介の形で成果を公開するとともに、大学教育の一環としての授業(全学共通教育科目「台湾の歴史と社会」、大学院「演習」など)の内容としても還元する予定である。
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Causes of Carryover |
理由: パンデミックによる海外渡航制限や入国規制が2022年度の夏まで続いたため、聞き取り調査が実施できなかった。2022年9月から再開の可能性を打診したが、インフォーマントらの健康への不安があり、当初、予定していた現地調査は中止された。 使用計画: (1)インタビュー・データの統合と整理、 (2)文献資料の購入と分析、 (3)成果発表のための旅費および会議費に使用する予定である。
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Research Products
(9 results)