2020 Fiscal Year Research-status Report
Effect of traditional plant utilization on the creation of regionality and the environment.
Project/Area Number |
18K11814
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
大野 朋子 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 准教授 (10420746)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大形 徹 大阪府立大学, 人間社会システム科学研究科, 教授 (60152063)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 空中庭園 / 園芸植物 / 住居構造 / アーカイブ写真 / 植栽スペース / 都市景観 |
Outline of Annual Research Achievements |
ネパールヒンドゥー教の宗教行事には様々な植物が必要とされ、中でもマリーゴールドの使用は非常に高く、これまで都市部のカトマンズを中心としてその生育場所を調査してきた。都市部でのマリーゴールドは、居住地の屋上やベランダでの栽培や逃出し個体が多いが、バラやキク等の観賞用と思われる植物の栽培も進んでいることを確認した。このような空中庭園型の植物配置は、ネパール独自の都市景観の一つを創り出していることが分かった。 本年度は、これらの景観を創り出す要因について、昨年度に引き続きアーカイブ写真および過去の現地調査から明らかにすることを試み、照葉樹林文化研究会ではその成果の一部を発表した。 現在のネパールの都市部では、アパートメント状の住居が主流となっている。レンガ材で建築された住居は1棟あたり4~5階建て、およそ3世代が同居する。居住者が増えれば、その都度、上階を増築するが、敷地面積を広げるわけではないため、植栽スペースは増加しない。また、1981年のカトマンズの住居屋上の様子をアーカイブ写真により確認した。住居の密集程度は現在と大差ないが、屋上空間はトタン屋根で閉じられ、現在の屋上やベランダでのマリーゴールド他、鑑賞植物の栽培はほぼ無い。一方、大都市郊外の地域では、低層階の居住地に庭の存在もみられ、より広い植栽スペースを有している。つまり、カトマンズのような大都市では狭い土地に人口が集中するため、植栽スペースが必然的に屋上やベランダなどに限られ、さらにカースト、民族、様々な文化、歴史的背景が住宅の相続方法や住環境と関わった結果としてネパールカトマンズの現在の景観を形成したと考えられる。この空中庭園型の植栽・都市景観は、大都市圏カトマンズ特有の景観であることが分かったが、地域の植栽景観と文化、社会とのかかわりを精査よく実証するには、過去の情報整理と分析を継続して進める必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
現在も世界中で深刻な問題となっている新型コロナウィルスの感染拡大によって、国内外の現地調査が全く行えない状況であり、研究期間の延長に至っている。本年度は資料調査中心となったが、図書館、資料所蔵施設の休館なども影響し、研究は遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
海外現地調査は、当面行える状況にないと思われ、今後も現地調査から資料調査中心に研究を進めていく方針である。しかし、感染拡大の状況次第で様々な国内施設の利用ができない場合が生じると予想する。その際は、デジタル情報(中尾佐助スライドデータベース等)を活用し、可能な限り国内外の情報収集を行い、これまでの現地調査結果と整合させて研究を遂行する予定である。
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Causes of Carryover |
バリ島とブータンへの海外現地調査を予定していたが、新型コロナウィルスの感染拡大のため、国内外すべての現地調査が中止となり、計上していた渡航予算の執行が出来なくなった。現地調査については、今後も不確定な状況が続くことが予想され、資料調査および成果報告費用にできるだけ使用し、状況次第で調査渡航費に計上したい。
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Research Products
(1 results)