2021 Fiscal Year Research-status Report
現代韓国における植民地史の再編と文化資源化に関する研究
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18K11823
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Research Institution | Asia University |
Principal Investigator |
金 賢貞 亜細亜大学, 国際関係学部, 准教授 (20638853)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 植民地史 / 韓国 / 文化資源化 / 近代文化遺産 / 群山 / 都市再生運動 / ツーリズム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、1990年代末以降、現代韓国の地域社会に数多く残っている「日本式建築物」だけではなく、それまで意図的に語られなかったり、あるいは、否定的に捉えられたりしてきた「植民地都市として開発されたローカル史」にも新たな意味を付与するとともに、それら日本式建築物や植民地都市としての歴史に対する文化資源化を積極的に進めてきた韓国全羅北道群山市を調査地に据え、当該地域で行われている社会的・文化的実践としての「都市再生運動」や「祝祭」、さらに新たに設置されつつある「公共展示施設」としての博物館・歴史館のあり方を中心に〈植民地遺産の文化資源化〉の様相を明らかにするとともに、再解釈されつつあるローカル史、言い換えれば、〈植民地期〉という過去がいかに「公的記憶」「公的歴史」に創りかえられつつあるのか、その具体的なプロセスと現状、並びに社会的・文化的意味を考究することに目的がある。 本研究の最終年度である2021年度には、2020年度まで収集した様々な調査資料や長期的かつ集中的なフィールドワークを通して得られた観察・インタビューの資料などを検討・考察し、論文などの形で発表する予定であった。 しかし、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響により、2020年春季に予定していた市民参加型の都市再生運動の調査や、夏季に実施予定であった「群山時間旅行祝祭」の調査、ほかにも年間2回にわたって行う予定であった植民地期建築物の資源化(博物館・歴史館の設立など)に関するフィールドワークをすべて中止せざるを得なかった。実際、2年以上、調査国の韓国に入国できず、予定していたフィールドワークも実施できていない。したがって、研究計画を変更し、これまで収集してきたインタビュー資料の文字化と分析、インターネット上で収集可能な資料を集めるとともに、関連する状況の動向をオンラインで観察しつつ、可能な限り資料収集に努めてきた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
上記の「研究実績の概要」で述べたように、2020年春季から、予定していたフィールドワークが実施できない状況が続いている。そもそも、調査対象国の韓国に2年以上渡航できていない。そのため、研究期間の延長を認めていただいた。 2022年度は、日本国の出入国許可(隔離期間を含む)の方針や韓国の同様の方針、さらに、所属機関の海外出張に対する方針を見極めながら、夏季フィールドワークの再開に向けて準備中である。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年の夏季・冬季のフィールドワークの実施に向けて準備中である。 フィールドワークの実施を除き、研究計画書を提出した当初から研究計画に大きな変更は生じていない。
2022年度には、全羅北道群山市における①市民参加型の都市再生運動、②「群山時間旅行祝祭」、③群山の日本式建築物の文化財指定および活用(観光資源化など)の現状、④群山市のツーリズムの現状、⑤博物館・歴史館の現状、⑥Covid-19による地域経済への影響などについて現地調査を行いつつ、種々の関連資料を収集し、検討したい。
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Causes of Carryover |
本研究において次年度使用額が生じた理由は、Covid-19の感染拡大により、海外(韓国)でのインテンシヴなフィールドワークとそれによる資料収集が主要な研究方法である本研究が、2020年および2021年の2年間、当初の計画通りに実施できなかったためである。 延長が認められた2022年度には、当初の研究計画で予定していた「研究3年目の2020年度」の調査研究を行う予定である。具体的には、韓国全羅北道群山市における①市民参加型の都市再生運動、②「群山時間旅行祝祭」、③群山の日本式建築物の文化財指定および活用(観光資源化など)の現状、④群山市のツーリズムの現状、⑤博物館・歴史館の現状、⑥Covid-19による地域経済への影響などについてフィールドワークを実施しつつ、種々の関連資料を収集し、検討を加えていきたい。 ということで、次年度使用額は、主にインテンシブな現地調査の費用や、海外での調査資料・参考図書などの購入、収集した資料の分析にかかる費用などとして用いていきたい。
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