2018 Fiscal Year Research-status Report
State capitalism with Russian characteristics: toward a comparative analysis of emerging economies
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18K11825
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
安達 祐子 上智大学, 外国語学部, 教授 (90449083)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ロシア / ロシア企業 / 国家資本主義 / 非公式性 / 資源産業 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、ユーラシア地域大国として躍進する新興国経済の成長とともにグローバルに拡大する「ステート・キャピタリズム(国家資本主義)」について、その台頭を展開の背景の意味、およびそのメカニズムと影響を体系的に明らかにすることにある。 とりわけ主眼となるのは、ロシアの事例の検証である。 資源大国ロシアにおける、国家資本主義の台頭を、ソ連崩壊後に市場経済への体制転換過程で生成された政府と企業の間に機能する特有の相互浸透関係を軸として研究をすすめるのが本研究の目的である。とくに、(1)市場と政府の関係、(2)資源と企業の役割、(3)公式と非公式制度の連関という3点を中心に研究をすすめている。 ロシアの国家資本主義の基軸となるのが戦略的産業分野における国家主導であることを明らかにし、戦略的産業の国家主導に関する分析を、国策企業体である「国家コーポレーション」を中心に進化させることができた。 研究計画に沿って、国内外での学会やセミナーで成果報告をおこない、ロシアにおける現地調査を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度である2018年度は、主要先行研究の渉猟および確認を進め、研究発表や海外調査など、研究活動を実施した。 スウェーデンのウプサラ大学ロシア・ユーラシア研究所主催の講演会、および国際学会Association for Slavic, East European, and Eurasian Studiesにて、研究成果報告を行なった。また、当初の計画に沿って、現地調査を実施し、課題に関する文献収集や聞き取り調査を行った。ただ、研究論文の執筆作業がおくれぎみであることは次年度の課題である。
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Strategy for Future Research Activity |
「国家資本主義」概念をより精緻化させる。「多様な資本主義(Varieties of Capitalism)」論が示唆するように、ロシアや中国などの移行経済国についても、一つの形に収斂するとはは限らない。よって、「多様な国家資本主義(Varieties of State Capitalism) についても議論できるであろう。そこで、この概念の有用性や汎用性についての検証を進める。また、新興国経済の比較研究にむけての方法の検証を試みる。そして、得られた研究結果をとりまとめた成果発表をおこなう。
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Causes of Carryover |
本年度に参加した国際学会の渡航費について補助が得られたため、次年度使用分に一部を回すことになった。次年度の現地調査の実施の際に活用する予定である。
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Research Products
(5 results)