2019 Fiscal Year Research-status Report
グローバル映画流通網におけるアジアと日本の市場比較:配給を中心に
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18K11831
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
笹川 慶子 関西大学, 文学部, 教授 (30339642)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 映画 / 流通 / 配給 / 産業 / 日本 / ロンドン / 吉澤商店 / 福宝堂 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度はロンドンの映画市場および配給システムの形成と変容について調査研究し、ロンドンでの日本の映画会社の活動を明らかにした。具体的にはまずロンドンの映画市場および配給システムに関する先行研究を調査し情報を整理した。次にロンドンに出張し、現地の研究機関にて政府刊行物や新聞、映画雑誌などを調査収集した。さらに国内外で収集した文献や史料をもとにロンドンでの吉澤商店と福宝堂の活動を可能な限り跡づけた。110年以上前に日本からロンドンに派遣された東洋人の記録をロンドンで探すのは困難を極めたが、様々な専門家と情報交換することで、わずかながらもその足跡を辿ることができた。 本年度は研究成果の発表にも努めた。研究の成果は2本の論文「日英映画交渉史――吉澤商店を事例として」と「日英映画交渉史(2)――福宝堂とロンドン」にまとめた。また5月にドイツで開催された東アジア文化交渉学会にて口頭発表をおこなった。さらに7月にはイギリスのSainsbury Institute for the Study of Japanese Arts and Culturesで研究の成果を発表する機会を得た。 一方、日本とアジアとの関係については台湾と日本映画産業の交渉に関する中国語の論文を投稿し『海絲之路』(厦門大学出版社、2019年)に掲載した。また上海での映画市場形成と配給に関する論文「グローバル映画配給と中国 1896‐1914」を『中国関係論説資料』に採録した。ほかに1920年代以降の日本とアメリカの映画交渉史を実証的に研究したThe Aesthetics of Shadowを共訳し名古屋大学出版会から『影の美学』(2019年)として出版した。本書は本研究の対象とする時代の後に続く時代を研究対象とするがゆえに、本研究の目的を明確にするうえで示唆的であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度はニューヨークとサンフランシスコの調査を予定していたが、2019年度が始まる直前にドイツとイギリスでの発表の機会を得たことから、科研の予算を有効に使うべく急遽予定を変更し、2020年度に予定していたロンドンでの調査を先行した。代わりにニューヨークとサンフランシスコの調査は2020年度におこなう。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は2019年度に引き続き、イギリスでの調査研究の成果をまとめ発表することに努める。同時にまた、アメリカでの調査研究の準備を進める。ただし今年度前半に予定していた東京出張およびアメリカ現地調査は新型コロナ拡大のため延期し、後半に実施することを検討している。
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Research Products
(8 results)
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[Book] 影の美学2019
Author(s)
宮尾大輔著、笹川慶子、溝渕久美子共訳
Total Pages
324
Publisher
名古屋大学出版会