2020 Fiscal Year Research-status Report
Transmission and transformation of intangible cultural heritage in relation to natural hazards: a case study in Northern Vanuatu
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18K11836
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Research Institution | National Museum of Ethnology |
Principal Investigator |
野嶋 洋子 国立民族学博物館, 学術資源研究開発センター, 外来研究員 (50586344)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 無形文化遺産 / 自然災害 / 火山災害 / バヌアツ |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は最終の現地調査を実施し、過去2年で調査を実施したガウア島およびアンバエ島での調査で地域住民の関心が高かった無形文化遺産要素を中心に据え、コミュニティにおける無形文化遺産保護や防災への活用計画を考えるためのコミュニティワークショップを開催するとともに、補足的な情報収集を行う計画であったが、新型コロナウィルスの影響により渡航困難となったため、計画を延期せざるを得なくなった。 そのため、過去2年のフィールドデータについての分析を進めるとともに、両地域における20世紀前半頃までの民族誌情報を渉猟し、当時の様々な無形文化遺産の実践状況について整理を行うとともに、過去の主要な災害事例や人口動態についても情報収集を行った。 ガウア島・アンバエ島それぞれの火山噴火による無形文化遺産への影響には、火山灰の降下による環境や有用資源への直接的ダメージとともに、長期に渡る避難生活や移住に伴う自然及び社会環境の変化も見逃せない。またその影響は必ずしもネガティブなものばかりではなく、ポジティブに作用する場合もある。ガウア島噴火の場合は西部住民が北部の集落に半年間避難し、アンバエの場合は全島民が一時的な避難所生活ののち、その一部はサント島都市部近郊に土地を得て移住し、東部の人々の多くはマエウォ島の集落に受け入れられ、内陸部に移住した被災コミュニティもあった。災害事象そのものの潜在的リスクはある程度予測可能だが、社会環境の変化、特に他島・他地域の人々深く接触することによる無形文化遺産の実践への影響は大きく、反応も様々である。こうした避難経験(あるいは被災者受け入れ経験)を無形文化遺産の継承促進につなげるような方策についても、検討する必要があるだろう。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
COVID-19の世界的感染拡大により調査対象国への入国が困難な状況となった。現地協力機関と連絡を取りつつ、状況が改善する可能性も考え準備を進めたが、国境閉鎖が現在に至るまで継続しているため、最終的に今年度計画していた現地調査計画を延期せざるを得なくなった。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度から延期した現地調査については、現時点では状況改善が見られないため、現地機関と連絡を取りつつ、年度後半11月以降のタイミングでの実施の可能性を探る。しかしながら、今後のコロナ関連の動向は不透明であるため、これまでに収集した情報の分析を進め、報告書としてまとめる作業を優先して進めるとともに、投稿論文や学会発表などの機会を通じて成果公開を行えるよう努める。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスの感染拡大により、調査対象国が国境閉鎖し、計画していた現地調査を実施することができなかったため。次年度、後半期に延期となった調査を実施する。
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Research Products
(1 results)