2019 Fiscal Year Research-status Report
都市近郊における散策路事業の成立構造・計画思潮の変遷と縮退時代における活用可能性
Project/Area Number |
18K11844
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
岡村 祐 首都大学東京, 都市環境科学研究科, 准教授 (60535433)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片桐 由希子 首都大学東京, 都市環境科学研究科, 助教 (50508190)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ストック / 東京都 / 健康 / 暮らし / ハイキング / 空間 / 緑地 / アウトレットモール |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、1)「散策路事業」の通史研究、2)特定地域における「散策路事業」の事例研究、3)「暮らし体験型散策路」の計画提案・実践・評価の3点を目的に掲げている。 2019年度、1)に関しては、戦前期から現代に至る東京都(前身の東京市含)による主な散策路事業の変遷の整理を行った。その結果、時代とともに様々な部局(建設局、生活文化局、環境局、福祉保健局等)が、それぞれの政策目標(レクリエーション機会の創出、自然環境保全、歴史文化資源の活用、健康増進)に従って散策路事業を実施していることが明らかとなった。 2)に関しては、前年度から引き続き東京西郊多摩丘陵を横断するする野猿峠コース(約13km)に着目し、戦前期から現代まで継承されている散策路が空間的ストックとしてどのような意義を有しているか考察し、その成果は国際学会や国内学会誌において発表した。さらに、近年、とりわけ健康増進を目的とした散策路事業が盛んに行われており、東京都のトーキョーウォーキングマップ、山形県上山市のかみのやま温泉クアオルト、富山県富山市のTOYAMA TOWN TRECKING SITEなどについて事例研究を進めた。くわえて、「 日本フットパス協会設立10周年 記念シンポジウム」(東京都町田市、2020年2月8日開催)において基調講演を行うとともに、全国各地のフットパス主催団体との交流を図り、事例収集を行った。 3)に関しては、大学近接のアウトレットモール運営会社と産学連携の体制を組み、「アウトレットモール来訪客への「暮らし体験型散策路」の計画提案―犬連れの来訪客を中心として」の研究課題に取り組んだ。具体的には、散策路の推奨ルートを示したマップの制作・配布、アンケート調査、施設内での展示、フォトコンテストなどのプロジェクトを実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究期間の最終年度に実施予定であった「暮らし体験型散策路」の実験に関して、ステークホルダーとの共同研究体制が整ったために、前倒しで2年目に実施することができた。一方、散策路事業の通史的研究や事例研究に関しても概ね順調に進展しているが、2020年年明けのコロナウイルス感染症のまん延により、一部事業主体へのヒアリング調査等が実施できず、次年度に持ち越しとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
研究期間の最終年度となる2020年度は、過去の散策路事業によって計画・整備された散策路が、現代の都市・緑地空間のなかでの位置づけを明らかにすることで、散策路事業の歴史的評価に取り組む。また、健康増進と散策路事業との関係に着目し、山形県上山市など具体的な事例対象地を定めて、ケーススタディを行う。さらに、昨年度実施した「暮らし体験型散策路」の実験については、結果の検証を行い、今後の展望を整理する。 ただし、多くの調査は、フィールド調査や関係者へのインタビュー調査等を伴うため、現在のコロナウイルス感染症が収束しない限りは、進めることが難しい状況にもある。
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Causes of Carryover |
コロナウィルス感染症予防のため、一部予定していたフィールド調査やヒアリング調査ができず、翌年度分として繰り越すこととした。
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Research Products
(3 results)