2020 Fiscal Year Research-status Report
ネット社会におけるインバウンド観光客・定住者を意識した文化伝達の言語表現
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18K11849
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
平松 裕子 中央大学, 経済研究所, 客員研究員 (30649629)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐良木 昌 明治大学, 研究・知財戦略機構(駿河台), 研究推進員 (20770960)
原田 康也 早稲田大学, 法学学術院, 教授 (80189711)
森下 美和 神戸学院大学, グローバル・コミュニケーション学部, 准教授 (90512286)
伊藤 篤 中央大学, 経済学部, 教授 (80500074)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 言語景観 / 文化特性 / 経年調査 / アプリケーション |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は日光、神戸において分担者がそれぞれ言語景観調査を続行し、それに基づいた研究を深めた。 日光における言語景観に関しては、外国人観光客が減少した後の街並みの言語景観の変化、コロナ禍における注意情報の表記等を観察・記録した。また、言語景観に準じた掲示の変化としては、神戸をはじめ多くの地域で見られたアマビエの掲示に対して、日光においては「日光山 輪王寺」(実際は右から左に文字を記載)と記載された角大師が描かれた疫病退散のお札が街並みに掲示された。文化的な特徴が言語景観にも見られた。加えて、和菓子店に顕著に見られる「見立て」に関して、日本文化の市井での展開事例としての研究を進めることができた。また、歴史的な観点から、日光市図書館の協力を得て、資料を遡り、現在の調査地域に関する情報を収集した。このようにして、従来の研究に歴史、文化の観点を加え充実した成果を得た。なお、最終年度のアプリケーションへの情報の反映に関しては、調査区域の道路が改修に伴い新年度の際設置を予定することとなったが、検討を行えるだけの情報・素地は揃った。 一方、神戸においては、中華街、港町としての言語景観、また他の港町との比較研究など、日光とは異なる特徴を持つ街並みの言語景観を継続調査した。また、コロナ禍でも調査ができるGoogle Street Viewを活用し、現在だけでなく、以前の町の言語景観も調査を行った。 時間軸での調査研究、他地域との比較など資料も含めた研究が行えたことで、新年度のまとめに厚みのある成果が期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍で、本来調査対象であった、外国人観光客、また在留外国人に対するヒアリング調査ができなかった。また、特に英訳に関して調査を実施していたが、外国人観光客の観光地訪問が実質上ほぼできないという状態になり、言語景観も通常とは変わったものとなってしまった。 したがって、当初の目的に照らし合わせた場合、やや遅れてしまったと言わざるを得ないが、その一方で、得られたものも大きった。当初予想外の文化特性がコロナ禍で見られたり、街並みの景観から非常時対応の言語表示の展開速度などが観察できるということもあり当初の計画とは異なった点で研究を深めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
リモートを利用しての在日外国人ヒアリング調査など、最終年では、昨年度にできなかった外国人をターゲットとした調査を実施する。 日光と神戸という歴史の異なる2観光地の言語景観の比較を元に、街並みに現れる文化を考察する。言語景観における文化の表出、文化認知の立場から今後の研究につながる部分をまとめる。国際学会に関してもオンライン参加の可能性も含め、検討を行い、海外の研究者とも連絡を取りつつ、研究を進める。発表の場に関して既に決定している予定として、2021年度認知科学会全国大会においてオーガナイズドセッションを開催し、広く知見を広め、意見交換の場を儲けることで、これまでの研究成果を発表し、それらを今後の研究の糧としていくことを考えている。 また、アプリケーションへの情報反映に関しても、道路の改修後に実施したいと考えている。
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Causes of Carryover |
(次年度使用額が生じた理由) コロナ禍、外国人観光客の研究の舞台となった観光地への流入の激減、また在日外国人のヒアリング調査、研究者が集合し、調査を実施することができなかったため、次年度における継続研究実施を行うこととした。 (使用計画) 社会状況が許せば、研究者が集合して各自の知見を持っての日光及び神戸における言語景観調査の実施を次年度に行う。また認知科学回全国大会におけるオーガナイズドセッションなど最終年にふさわしい研究成果発表の場を持つ計画である。加えてその成果を現在展開中のアプリケーション(道路改修まで一部撤去。その後ビーコンを改めて張り出し予定)に反映することを考えている。
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Research Products
(6 results)