2021 Fiscal Year Research-status Report
International comparison of the integration of tourism policy and cultural policy- from the point of view of cultural tourism
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18K11856
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Research Institution | Setsunan University |
Principal Investigator |
後藤 和子 摂南大学, 経済学部, 教授 (00302505)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 文化観光 / 博物館の財政モデル / 工芸産業 / 工芸が内包する無形のコンテンツ / 地域団体商標 / 知的財産権の経済学 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、観光政策と文化政策の政策統合の対象となる博物館や工芸産業について研究を進めた。博物館・美術館については、観光によって影響を受ける博物館・美術館財政について検討した。博物館法の下で社会教育施設として活動を行ってきた博物館が、観光の受け皿となるためには、より多くの人員と予算が必要である。しかし、現状では、職員数が3-5人という館が最も多い。この人数で文化資源の収集、保存、展示、教育、研究以外に観光や地域振興まで視野に入れた活動を行うことは難しいと言わざるを得ない。 予算については、活動と表裏一体であり、職員が少ないところでは活動が少ないため少額の予算でも活動を一定程度維持できるという現実もあることが分かった。また、日本では1館ごとの財務状況が公表されておらず、社会教育費の中にまとめて計上される。そのため、館ごとの財務状況の比較もできないため、自館の予算が多いのか少ないのかさえ判然としない状況である。海外の博物館・美術館と比較すると日本の博物館・美術館の人員と予算がいかに少なく公的予算に依存しているかが分かる。こうした現状について、日本ミュージアムマネジメント学会の支部研究会で報告し意見交換を行った。 工芸に関しては、エラスムス大学(オランダ)やカターニャ大学(イタリア)等の研究者と共同研究を行い、国際文化経済学会大会で発表した。その中で、本研究では、工芸の持つ無形のコンテンツの価値に着目し、知的財産権政策が工芸の振興に有効であるか否かについて文献研究を行った。工芸の持つ無形のコンテンツは工芸観光にとって重要な意味を持つため、無形の価値を振興する知的財産権政策の有効性を確認する必要があったためである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は観光政策と文化政策の政策統合に関する国際比較研究である。国際比較を行うために、オランダやイタリアをはじめとする欧州の大学を訪問し、現地調査や共同研究を行う予定であった。しかし、COVID-19の影響で海外渡航ができなくなり、緊急事態宣言等の下では国内調査すらできなくなった。そのため、文献を読むことはできても、新たな調査やそれに基づく分析ができなかった。 海外の研究者から専門的知見の提供を受けたり共同研究を行うこともZOOM等に限られ、フェイス・トゥ・フェイスで研究を大きく進めることができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
COVID-19の影響を受けてから約2年が経つ。2年間の遅れを一気に挽回するのは難しいかもしれないが、海外渡航が自由にできる状況になれば夏季休暇や春期休暇等の期間に集中的に海外での研究を行う予定である。 国内調査については緊急事態宣言が出ない限りある程度移動が可能なので、土日を利用して現地を訪問する等して挽回に努めたい。
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Causes of Carryover |
国際比較研究のため海外調査や海外での共同研究を予定していた。しかし、COVID-19の影響で海外渡航ができなかった。国際学会での発表も計画していたがオンラインに切り替わってしまったため旅費を使うことができなかった。 国内調査も緊急事態宣言やまん延防止で制限され現地に出向いての調査ができなかった。 コロナが一定程度落ち着き、緊急事態宣言等がでなければ国内調査から開始し、海外渡航ができる状況になれば海外に滞在して現地調査及び共同研究を行う予定である。
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