2021 Fiscal Year Research-status Report
独墺の観光事業に見る「ロマンティック・イメージ」形成についての文化史的研究
Project/Area Number |
18K11867
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
小宮 正安 横浜国立大学, 大学院都市イノベーション研究院, 教授 (80396548)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 観光史 / 社会史 / 文化史 / 芸術史 / 文学史 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は、2020年度までのの調査を継続しつつ、ロマンティック街道に関する様々な「ロマンティックイメージ」の表象について、特に1950年代以降ドイツで発行されたガイドブック、ならびに特に1970年代以降日本で発行されたそれとの詳細な比較検討をおこなった。またその中で、ドイツ語圏におけるロマンティックイメージと日本におけるそれとの差異と共通性を浮き彫りにしつつ、日本におけるロマンティック街道ブームの変遷、およびそのイメージを形成するところの日本におけるロマンティックイメージの推移についても、包括的研究をおこなった。 具体的には、ロマンティック街道に関しドイツではじめて出版されたMerlinのガイドブックをはじめ、とくに同街道初期のガイドブックを検討する中で、現在同街道のハイライトとされえているノイシュヴァンシュタイン城をはじめとする観光名所が強調されておらず、逆に現在はあまり取り沙汰されない中世都市が取り上げられているという事象の中で、「ロマンティック・イメージ」の変遷が第二次世界大戦後において急速に変化したこと、またそうした変化がひと段落した時点で日本におけるロマンティック街道需要が始まったことが明らかになった。 また新型コロナウィルス感染症拡大により、ドイツとオーストリアで予定していた最終的な現地調査を2020年度に続いておこなうことができず、また緊急事態宣言等により不要不急の出校が難しくなる中で、これまで購入した機材を用い、調査資料のデジタル化を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウィルス感染症拡大により、大学側から海外渡航が禁止される中で、ドイツとオーストリアで予定していた最終的な現地調査をおこなうことができず、2022年度に研究の延長をせざるをえなかった。 このため、文献調査はそれなりに進めることができたいっぽう、現地調査を通じた研究をおこなえず、「やや遅れている」との判断をおこなった。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度に、新型コロナウィルス感染症がある程度収束し、海外渡航の禁止が解ければ、ドイツとオーストリアで予定していた最終的な現地調査を実施し、2022年度に研究のまとめをおこなう。 これが不可能な場合には、2023年度にこれまでの現地調査、文献調査を踏まえて、研究の包括をおこなわざるをえない、という予想を立てている。
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Causes of Carryover |
大学側からの要請により外国出張ができなかったため、旅費の執行が不可能であった。2022年度は外国出張をおこない、旅費の執行を可能にする予定である。
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