2020 Fiscal Year Research-status Report
東日本におけるクルーズ観光活性化のための新たな寄港地選定と誘致方策の検討
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18K11880
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
桜井 慎一 日本大学, 理工学部, 教授 (30170640)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 離島 / ヒアリング調査 / 地方自治体 / 港湾管理者 / 観光協会 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和元年度までの自治体等のヒアリング調査を通じて、クルーズ客船の寄港実績のある本土の港では、地元自治体等が入念な受け入れ準備を行って寄港が実現しても、乗船客は大型バスなどに乗車して、寄港地から離れた観光地を巡ってしまって、港のある地元に恩恵が少ない場合があることが判明した。 そこで令和2年度は、離島にクルーズ船が寄港すれば、観光は島内で完結し、本土とは異なって、経済的恩恵もほとんどが島内に還元されるのではないかとの予測のもと、全国の離島港湾を対象としたヒアリング調査を実施した。 ヒアリング調査項目は、本土の寄港地でも聞いた共通項目(誘致活動の有無、出迎え見送り行事、船客の消費を増やす取り組み、他港との連携など)に加えて、特に離島における船客の行動実態や島内での飲食や買い物に適する施設の現状、島民からみたクルーズ客の評判、島ならではのお出迎え行事の特色などを追加して尋ねたため、1か所あたりの調査時間は本土の港に比べて長くなった。 なお、令和2年度にヒアリング調査で訪問した離島港湾の自治体は、次のとおり計10島である。令和2年9月8日~9日にかけて、北海道の利尻島(利尻町・沓形港、利尻富士町・鴛泊港)、礼文島(礼文町・香深港)、稚内市・稚内港。10月5日~7日にかけて、鹿児島県種子島(鹿児島県熊毛支所、南種町・島間港、西之表市・西之表港)、屋久島(屋久島町・宮之浦港および安房港)。11月16日~19日にかけては、瀬戸内海の離島、小豆島(小豆島町・土庄港・内海港・坂手港)、岡山県北木島(笠岡市・金風呂漁港・豊浦港)、広島県福山市(瀬戸内クルーズ)、廿日市市(宮島・宮島港)。12月16日~18日には、沖縄県宮古島(宮古島市・平良港)、鹿児島県奄美大島(奄美市・名瀬港、瀬戸内町・古仁屋漁港)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナウィルス蔓延防止のため令和2年4月7日に1回目の緊急事態宣言が発出されたことから、全国各地の離島自治体を訪問するヒアリング調査は自粛していたが、5月25日に首都圏1都3県および北海道も解除されたことから、離島の地方自治体への連絡を再開し、夏季以降の訪問の可否を問い合わせた。その結果、感染者数も減少しつつあったため令和2年9月~12月にかけて、北海道北部、鹿児島奄美諸島、瀬戸内海、沖縄宮古島の計10か所の離島自治体等を訪問することができ、ほぼ当初の計画どおり、離島におけるクルーズ船受け入れの現状を把握することができた。 令和2年12月以降、再びコロナの感染者が増加に転じ、令和3年1月8日から2回目の緊急事態宣言が発出されたこともあり、年度当初に予定していた大型クルーズ船を運行する日本船社に対するヒアリング調査は令和3年度に見送らざるを得なかったので、これを含めて進捗状況は「やや遅れている」と自己評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度は、本研究の最終年度となるので、令和2年度までに計画していたがコロナ等の要因によって実施することができなかったクルーズ船寄港地の地方自治体等に対するヒアリング調査およびクルーズ船を運航する日本船社に対するヒアリング調査を実施する予定である。 寄港地自治体の調査としては、東京都の小笠原諸島および伊豆七島のいずれか、また、船社ヒアリングは、商船三井客船、郵船クルーズ、日本クルーズ客船などを計画している。これら日本船社は、新たなコロナ感染予防対策を施した上で、すでに昨年末より、少数ではあるが運航を再開しており、ウィズ・コロナ時代に適応した寄港地選定や運航ルート等についてもヒアリングしたいと考えている。 しかし、上記、いずれの調査も、コロナの感染状況によっては実施が難しくなることも予想されるので、適切な時期を見計らって行うべく、早めの準備を行う所存である。 また、本研究の成果発表も日本沿岸域学会などにおいて、令和3度内に行う予定である。
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Causes of Carryover |
クルーズ客船の寄港実績のある離島港湾にある地方自治体の調査のうち、コロナの影響もあって、東京都の小笠原諸島または伊豆七島のいずれかの島を対象とした現地調査が実施できなかったことが、最も大きな理由である。また、クルーズ船を運航する日本船社(商船三井客船、郵船クルーズ、日本クルーズ客船など)を対象としたヒアリング調査も、令和3年1月に2回目の緊急事態宣言が発出されたため、実施することができなかった。 これら令和2年度までに実施できなかった調査は、コロナの感染状況を勘案しながら、最終年度である令和3年度中には、改めて行う計画である。なお、コロナ蔓延のため、直接、ヒアリング先を訪問しての調査が困難となった場合には、ZOOM等を用いたオンライン・ミーティングによって、当初の目的を達成する所存である。
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