2020 Fiscal Year Research-status Report
訪日外国人旅行者との対話モデルの構築:対話原理に基づく意味共有と価値創造の体系化
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18K11881
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Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
高梨 博子 日本女子大学, 文学部, 教授 (80551887)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | インバウンド観光 / 対話的交流 / 間主観性 / 都市の進化 / アイデンティティ / ボランティア活動 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は、新型コロナウィルス感染症拡大の影響で、当初計画していた国内外でのフィールドワークの実施がかなわなかった。このような状況下において、昨年度までに収集したデータの整理と分析を中心に、バフチンの対話原理やスタンス、対人関係の関連理論などを発展的に解釈し、インバウンド観光における対話的交流やアイデンティティ形成への適用、対話の質的向上や人材育成・地域づくりに向けた調査研究を継続した。 フィールドワークは実施できなかったが、著書の分担執筆や学会発表を行った。まず、観光の分析にも援用している「アイデンティティ」や「スタンス」の概念を用いた談話分析の論文「アイデンティティ・ワークとスタンスの多層性―からかいのプレイから―」を、著書『動的語用論の構築へ向けて』第2巻(開拓社)に執筆した。また、観光の研究にも共通する「間主観性」「スタンス」「間テクスト性」「ユーモア」の概念を応用した論文"Playful Naming in Playful Framing: The Intertextual Emergence of Neologism"を、著書Bonding through Context: Language and Interactional Alignment in Japanese Situated Discourse (John Benjamins)の第11章として執筆した。研究発表としては、2020年12月の第35回日本観光研究学会全国大会(オンライン開催)において「対話原理に基づくインバウンドディスコースにおける視座の分析―ボランティアガイド活動におけるホストとゲストの行動に着目して―」と題する共同発表を研究協力者の中野と共に行った。この発表については、『第35回日本観光研究学会全国大会学術論文集』も執筆し掲載されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年度の目標は、国内外でのデータ収集と分析、バフチンの対話原理に基づく理論的枠組みや実施手法の整理、学会等での発表であったが、新型コロナウィルス感染症拡大の影響を受けて国内外でのフィールドワークは実施できておらず、学会での発表にとどまっており、順調には進展していない。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度も新型コロナウィルス感染症の終息の目途が立たないことから、2020年度に実施できなかった国内外でのフィールドワークが実施できる見込みは低い。しかし、もし状況が許すならば、できる範囲で国内外でさらなるデータ収集や分析を行いつつ、対話的交流の理論的枠組みや実施手法の整理とその実証研究、学会等での発表や執筆作業を進めていく計画である。国際学会の発表としては、すでに2021年7月に国際語用論学会でオンライン発表を行うことが確定しているほか、8月の国際社会言語学会でもオンラインで発表を行う予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナ感染症の拡大の影響によりフィールドワークの実施がかなわず、研究費を予定通りに使用することができなかった。結果として生じた次年度使用額は、学会発表や執筆の費用などに充てる計画である。
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Research Products
(5 results)