2019 Fiscal Year Research-status Report
サービス人材の業務能力と問題解決スタイルが顧客価値に与える影響:旅館を中心に
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18K11885
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Research Institution | Tezukayama University |
Principal Investigator |
姜 聖淑 帝塚山大学, 経済経営学部, 教授 (70511294)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 業務能力 / 問題解決スタイル / 顧客価値 / 称賛 / 苦情 / サービス設計 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、接客サービスという視点からサービス人材の評価・育成のための尺度を検討し、その人材の潜在的業務能力と現場での問題解決スタイルとの関係について分析することである。そのために、本年度は、接客現場におけるサービス内容が顧客価値に与える影響についての研究を進める上で、顧客のサービス評価に焦点を与えた。特に、顧客価値の形成に影響を与えるサービス、どのような接客行為が顧客価値を高めるのかその関係性を明確するために、顧客の評価について分析を行った。分析結果は日本観光研究学会で発表した。 データ分析は、サービス現場における顧客から“賞賛”と“苦情”のコメントを分析した。今まで蓄積されている先行研究として姜(2005)とグッドマン(2013)の理論的かつ実証的研究に基づき、ホテル&リゾートD社のサービス経験者から寄せられた、称賛に関するコメント1,394通および苦情に関わるコメント2,944通を収集し、テキストマイニング(KHCorder3 アルファ版)を実施した。コメント分析の結果から、称賛には「接客従業員の行動」「ブランド力」、など臨機応変な対応が顧客の評価に大きく影響を与えることが分かった。一方、顧客の不満は「サービス設計の問題」から発生しやすいなど顧客の評価を類型化することが出来た。研究成果を踏まえ、従業員のサービス態度が顧客価値、いえば、顧客のサービス評価に与える要因をより具体化していくために今後の研究方向性について検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2019年度に計画していたフランスとタイへの現地調査は、新型コロナの感染拡大により調査先へのフィールド調査が実現できなかった。観光客の観光商品(対象)に対する価値形成に与えるメカニズムを検討するにおいて、人々に認知されている文化価値が観光行動に与える影響力を検証するためにも現地調査は必要である。そのため、2020年度は実施したい。 フィールドワーク以外は、計画通りで進み、顧客価値の相互影響メカニズムについてはサービス提供者が顧客に与える要因がより明確になった。 国外出張が延期された分、未使用額は2020年度に改めてフランスとタイの観光生活文化とホスピタリティ文化(サービス提供者の能力)を調べるため、フィールド調査を実施し、行動分析を行う予定である。フィールド調査はやや遅れているが、理論的研究モデル構築は計画通りである。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究は当初の研究計画通りに進める予定である。サービス提供者の行為がどのように顧客に影響を与えるのかを念頭に、全体の研究モデルを再考察・修正する。2019年度にサービスに対する顧客の評価について基礎的分析ができたので、その成果を土台として、研究を深掘りする。カテゴリー化できた顧客評価をより具体化するため、尺度を作り、尺度の信頼性を確保するためのアンケート調査を実施する。多数の基礎的知見を取りまとめ、宿泊サービスにおける顧客に提供すべき事項と、より顧客価値を高めるための従業員の潜在的業務能力についてさらに掘り下げたい。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染病の影響により、事例として生活文化をビジネス化したフランスの文化観光についてフィールドワークの実施と、ホスピタリティマインドとして世界的に高く評価されるタイの観光人材についての現地調査が実施できなかった。各国の状況を考慮した上で、調査実施が可能となった際には2020年度に現地調査を実施する。
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Research Products
(2 results)