2021 Fiscal Year Research-status Report
サービス人材の業務能力と問題解決スタイルが顧客価値に与える影響:旅館を中心に
Project/Area Number |
18K11885
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Research Institution | Tezukayama University |
Principal Investigator |
姜 聖淑 帝塚山大学, 経済経営学部, 教授 (70511294)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 顧客価値 / 高度専門サービス / 人材育成 / コンピテンシー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、日本的接客サービスという観点からサービス人材の評価・育成のための尺度を検討し、その人材の業務能力と職場での問題解決スタイルとの関係について分析することを目的とする。本年度は、宿泊サービスを事例として、顧客のサービス評価に焦点を与え、コロナ禍による顧客価値の変化について事例分析を行った。事例調査から新型コロナウィルスの感染拡大により、顧客の観光行動や意識にも変化がみられる。今後、観光産業においてもコロナが顧客価値の変換に大きな基準軸になるかもしれない。幾つの企業は以前、2019年度(コロナ前)時に、顧客のマス化、従業員の過度な業務負担、利益構造の問題などが課題となった。今回の調査からコロナ化により人と組織について顧客価値を再構築する時間にしている企業も多かった。 調査対象である高料金ホテルでは、顧客の宿泊利用に意識変化が見られた。コロナ禍前に、ホテルが観光における一つの手段としてホテルを利用していた顧客であったが、コロナ中にはホテルの滞在が観光の目的となるなどホテルの使い方そのものに変化が見られた。従い、ホテルの提供側も量から質への求める価値に応えるためのより高度なサービスが提供できる従業員の能力が求められる。ヒアリング調査のホテル経営者からも、数を売るのではなくクオリティを追求する顧客のニーズを先読みすることで稼働率の回復と客室単価も大きく向上させた。顧客に支持されるための質の高いサービスを提供できる従業員のコンピテンシーがより求められる。また、オーバーツーリズムで葛藤していた京都の旅館の場合、コロナという外部要因による、意図せずの部屋数の減少から、従業員とともに生き残るための努力と、部屋数が減ることで総合的に顧客満足と従業員満足度が向上したことに気がついたという。収益モデルもより理想的な方向性が見られたことから人材の確保と育成の方向性について検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2021年度も依然としてコロナ以前には戻らず行動に制限があったため、国外内の事例分析が遅れた。 世界の観光客に最も支持されるフランスへの現地調査が出来なかった。長年顧客(観光客)の価値形成に与えるメカニズムを検討するため、人々に認知されている文化価値がどのように観光行動に影響を与えるのかを検証するためにも現地調査は必要である。今年は実施したい。 コロナ禍の関係で再びフィールド調査が遅れた。また、モデル構築の再調整によるアンケート調査も遅れた。
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Strategy for Future Research Activity |
今年に入り、コロナにより対象国の入国制限が解除されたので現地調査を再開する。本格的に事例分析に取り組む予定である。現地調査とヒアリング調査を基に、付加価値の高い体験を提供できる仕組みと人材の活用について、ホテル旅館業界を対象としたアンケート調査を実施する。調査結果を国外内学会で発表し、研究者との意見交換を行う。
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Causes of Carryover |
新型コロナ感染の影響により、予定していたフィールド調査ができなかった。今年は移動の制限が解除されたため、現地調査を実施する予定である。調査結果を踏まえ、理論的研究モデル構築に努める。
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