2018 Fiscal Year Research-status Report
ワインツーリズムの空間的展開と地域の変容に関する総合的研究―スペインを事例にして
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18K11887
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
畠中 昌教 久留米大学, 経済学部, 准教授 (40461470)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | スペイン / ワインツーリズム / ワイン生産地域 / 持続可能性 / 景観 / 原産地呼称制度 / リオハ州 / カスティーリャ・イ・レオン州 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度は国内より先行研究や二次資料などの収集と整理を行った。また、平成30年度5~6月の18日間、ESPARC2018(スペイン、アストゥリアス州)、TEFI10(フィンランド)という2つの環境・ツーリズム関連のセミナーに出席し、EUを中心とした観光、環境、地理学分野の研究の最新動向の把握、関連分野の研究者・専門家との意見交換を行った。 さらに、平成31年2~3月の25日間、スペインのマドリッド州、バスク州ビスカヤ県・ギプスコア県・アラバ県、リオハ州、カスティーリャ・イ・レオン州バリャドリッド県、アストゥリアス州の州都・県都、事例に設定していたワイン生産地域の中心都市において、ワインツーリズムと持続可能性に関連する先行研究、一次資料の収集を行った。利用したのはそれぞれの調査地における大学図書館、中央省庁附属図書館、州・県立図書館、公文書館、観光オフィス、ワイン生産地域の原産地呼称統制委員会である。これらの対象地の中で、マドリッド州、バスク州、リオハ州、カスティーリャ・イ・レオン州は初めて調査する部分が多いため、優先的に時間を割り当てた。また、上記対象地の中央省庁、州・県庁、公文書館、大学、県・市の観光オフィス、原産地呼称統制委員会、商工会議所、ワインツーリズム関連団体において、担当者や専門家との聞き取り・意見交換を試みた。 その結果、日本からの情報収集では得られなかった先行研究や研究者の情報が得られ、ワインツーリズム展開の経緯と範囲、持続可能性との関係などについても予想とは異なる成果が得られた。 以上のことから、現地調査における資料収集・聞き取りは必ずしも予定通りと進んだとはいえず、また得られた情報の具体的な分析はこれからとはいえ、調査開始時には想定していた以外の重要な情報・知見が得られ、今後研究を進めていく上で有意義であったといえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成30年度は、科研費採択以前から事務局として関係していた第33回水郷水都全国会議(平成30年4月開催)、日本都市学会第65回大会(平成30年10月開催)、久留米大学比較文化研究所地中海地域研究部会主催講演会(平成31年1月開催)という3つの大会・講演会が続き、予想よりも多くの労力を大会運営に回すことになった。 科研費採択後には研究時間確保のため、事務局退任を希望した学会もあったが結局認められず、平成30年夏に予定していた現地調査は延期せざるを得なかった。また、最後の講演会については当初平成30年11月開催予定であったところ、当初の講演者が健康問題によって来日をキャンセルしたため予定を組み直しになる事も起こった。このような状態が続いたため、落ち着いて研究できる時間と環境の確保に苦労したことから、平成30年度の研究の進捗状況はやや遅れていると言わざるを得ない。 学会・講演会は平成31年1月で全て終了したものの、過労のためか体調が悪くなり、治療を受けながらの現地調査準備となった。平成31年2月には体調も回復したため、平成31年末に行ったスペイン出張では予定に近い現地調査を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成31年度には、事例となる州・市において一次資料収集、聞き取り、参与観察などに関する本調査を順次開始し、対象地域におけるワインツーリズムの空間的展開と地域への影響を確認する。また、平成30年度調査で入手した先行研究、資料、データを整理し、事例分析に着手すると共に、研究枠組みの点検を行う。平行して、平成31年度より研究結果を日本地理学会、人文地理学会、スペイン地理学会AGEなどで報告し、これらの場で他の研究者の意見や批判を得て、学術論文として投稿し、研究成果報告書の作成に反映させる。 平成30年度の研究結果をふまえて、主な事例とする州・市については、以下の通りに若干修正する。 DOCリオハ:リオハ州、バスク州アラバ県、ナバラ州(DOCが広範囲にわたり、複数の州が関わる) DOシガレス:カスティーリャ・イ・レオン州バリャドリッド県(DOルエダから変更、地理的には近隣) DOPビノス・デ・カンガス:アストゥリアス州カンガス・デル・ナルセア市 平成30年度の研究において問題となった過剰な学会事務局業務に関しては、事務局担当の退任、業務内容の変更などを行い、研究に専念できる時間と環境を確保できるよう対策を行った。更に、体調管理と過労を避けることによって体調維持に努める。
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Causes of Carryover |
平成30年度は、科研費に加えて、所属大学の個人研究費、科研費取得による学内報奨制度予算などが使用可能であったため、所属大学の研究費をまず使用し、不足部分を科研費で補った。 また、研究に使用する書籍・物品の多くはスペインの研究対象地域を一通り調査してから発注する予定であったところ、2回目のスペイン出張が平成30年秋から平成31年冬~春にずれ込んだため、関連する書籍・物品の発注を平成31年度に行うことにした。 以上の理由によって未使用予算が発生している。未使用分は平成31年度予算に繰り越し、旅費・書籍・物品費などとして有効利用する。平成31年年度は学内報奨制度が適用されず使用できる大学予算が限られること、また科研費予算が当初計画より減額され研究計画を縮小する可能性もあったところ、未使用予算を次年度予算に繰り入れることは予定していた研究遂行のために必要不可欠である。
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Remarks |
スペイン 久留米大学比較文化研究所 地中海地域研究部会事業、講演会:「スペインの観光・巡礼・国立公園」[講師:ショセ・サントス=ソーリャ氏](サンティアゴ・デ・コンポステーラ大学)平成31年1月15日~16日、於:久留米大学御井キャンパス(福岡県久留米市)
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Research Products
(4 results)