2022 Fiscal Year Research-status Report
市場化過程における保育労働とヴォイス・メカニズムの日・米・豪の国際比較研究
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18K11901
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Research Institution | Momoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
萩原 久美子 桃山学院大学, 社会学部, 教授 (90537060)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ケアの市場化 / 保育労働 / 労働運動 / 公共部門 / ケア労働力の変死絵 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の主要な研究実績は以下である。 第一に、自治労社会福祉評議会の協力を得て保育施設関連の労働組合役員・役職者を対象に、保育施設における労働実態と労働組合活動について行ったアンケート調査結果を報告書『保育士の労働実態と労働組合活動に関する調査』をまとめた。 第二に、この調査結果をもとに、学会報告を行うとともに、公立保育園の保育士および労働組合関係者に調査結果を還元し、以下の機会を得て、意見交換、さらなる検討を行った。〇「公共サービス職場の非常勤職員化と労働組合の現在」(2023年2月13日、自治労大阪府本部) 〇「社会サービスと公共部門とを結び直す」(2023年1月28日、自治労近畿地連社会福祉評議会) 〇「保育士の労働実態と労働組合活動に関する調査から」(2023年1月25日自治労神奈川県・海老名市職員労働組合保育部会)〇「保育士の労働実態と労働組合活動に関する調査から」(2022年7月30日、自治労保育集会)。 第三に、実態調査の結果に加え、これまで検討してきた日米の保育市場形成の違いと市場化における労働運動の担い手の差異に関する知見をもとに、保育政策に関する政策インプリケーションについての論文寄稿、および研究会報告を行った。 第四に、前年度から引き続き、オーストラリアにおける保育市場の動向を整理するとともに、アメリカに関しては1970年代以降の保育運動、労働運動、女性運動の連携構築に関する史的背景を整理している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
日本における公共サービスとしての保育と公共部門における労働運動の担い手の実態について調査結果をまとめえたことは大きな前進となった。これにより市場化における労働運動のアプローチと担い手に関して日米の違いと課題が明らかになりつつある。最終年度に向けて国際学会でのエントリーも受理されたことから、おおむね順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度を本計画の最終年度とし、以下をもって研究を総括する。 ①国際学会での報告を行う。日本の保育分野での労働実態とともに、保育制度の転換が公共部門における労働運動にいかなる影響をあたえたかについて報告する予定である。 ②日米豪の経験を中心に、保育の市場化の問題構制についての国際的な議論を整理する。 ③以上の作業結果を報告書等にまとめる。
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Causes of Carryover |
2023年度開催の国際学会へのエントリーが受理されたので、報告準備のための経費として留保することとした。よって、留保分は2023年度の国際学会の報告関連経費として使用する。
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