2019 Fiscal Year Research-status Report
スウェーデンにおけるSOGIに基づく差別の撤廃、人権保護や擁護等に関するとりくみ
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18K11911
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Research Institution | Shikoku Gakuin University |
Principal Investigator |
大山 治彦 四国学院大学, 社会福祉学部, 教授 (70321239)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大束 貢生 佛教大学, 社会学部, 准教授 (20351306)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | SOGI / LGBTQ / HBTQ / HBTQ認証 / スウェーデン / RFSL / 人権 / 差別 |
Outline of Annual Research Achievements |
文献調査として先行研究のレビューを行うとともに、次の現地調査等を実施した。①ヴェストラヨータランド・リージョン(広域的な地方自治体)において、「Hbtq証書」を担当している「性の健康に関する情報センター」の職員への面接調査と、施設見学。②LGBTの全国組織(NGO)であるRFSLが発行している「HBTQI認証」を取得した2機関、「南ストックホルム精神医療センター」(「グローベン気分障害治療センター」と「グローベン・ヤングアダルト治療センター」)と、「ソルナ市立中央図書館」の職員への面接調査と、施設見学。 現地調査によって得られた知見は、次のようなものであった。①ヴェストラヨータランドの制度誕生の契機は、妊娠中のレズビアン・カップルが産婦人科で受けた差別であり、現在では、医療機関に対する苦情のほとんどは、トランスジェンダーの人たちに関するものになっているという。LGBTの医療へのアクセス改善に役立っているという。②HBTQ認証は、認証取得のプロセスを通じて、職員が自分自身のもつ無意識のヘテロセクシズムなどに気づいたり、組織の運営やサービスのあり方を見直したりしているようである。このように、認証は、組織や職員がSOGIに敏感な視点を獲得し、職場や接遇を改善するきっかけとなっているようである。このように、SOGIに敏感な視点を獲得しようとする、HBTQ認証というツールは、わが国の行政等によるSOGIに基づく差別の解消に関する政策、施策等にも参考になると思われる。 研究の成果は、日本社会学会で報告するともに、一般書籍(『季刊セクシュアリティ』)において、その一部を発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度に予定していた現地調査は概ねて実施することができた。 認証を受けた企業、民間団体への調査ができれば、さらによかったのではないかと思われる。 また、今後の研究に繋がる情報を得ることもできた。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は、最終年度であることから、引き続き、文献研究を進めるとともに、2019年度まで調査結果や収集した情報をもとに、スウェーデンの制度、すなわち、オンブズマンやHBTQ認証などが、わが国の行政等によるSOGIに基づく差別の解消に関する政策、施策等に、どのように役立つのか考察したい。 研究の成果については、日本社会学会などで報告を行うともに、一般向けには、書籍などで発表をする。
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Causes of Carryover |
【大山治彦への配分について】 物品費について、必要な物品を他の資金によって購入することができたため、科研費で支出する分を節約することができた。また、旅費については、予定よりも支出が少なくなった。スウェーデン国内での移動費が安く上がったり、国内では、新型コロナの影響で、出張がキャンセルされたりしたためである。 繰り越し金は、不足が予想される、物品費、人件費・謝金などに充当する。 【大束貢生への配分について】 新型コロナの影響で、物品の購入の一部が執行できなかったためである。 繰り越し金は、物品費に充当する。
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