2020 Fiscal Year Annual Research Report
Practical Research for a Work-Life Balance of Women Seafarers
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18K11913
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Research Institution | National Institute of Technology(KOSEN), Oshima College |
Principal Investigator |
石田 依子 大島商船高等専門学校, 一般科目, 教授 (40370027)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 女性船員 / ワークライフバランス(WLB) / 男女共同参画 / 海運業界 / 性別役割分業 / 家父長制 |
Outline of Annual Research Achievements |
我が国おいてもW L Bの概念が広くいきわたっており,理論上は男女の別なく職場における仕事と生活の両立支援の下でキャリアアップできるはずであるが、現実にはそうはなっていない。本研究において、それは「家父長制」と「性別役割分業」のイデオロギーがいまだに根強く存在していることが原因となっているということがわかった。これらのイデオロギーが根付いた社会では、家内労働を担当する女性は家外での経済活動を制限され、家外労働を担当する男性は家内労働に従事する時間を制限される。今は性別役割分業に捕らわれた考え方を脱構築する時代である。そして,個人に対して一定の形式を押し付けないような社会や文化を構築することに貢献できるのがW L Bの実践であろう。このことは,陸上においても海上においても同じことである。いや、むしろ海上においてW L Bを実践することこそが,既存のイデオロギーの脱構築に寄与するのである。内航・外航に関わらず、労働形態が特殊である船員業においてW L Bを実現すれば、その影響は陸上にも大きく及ぶことが期待されるからだ。 船社の組織内で性別役割分業のイデオロギー解体に向けて男性船員の意識を啓発することは、必然的に男女共同参画への意識が高まることにもつながる。性別役割分業の意識が少しずつでも解体されていけば、女性船員は、出産後の育児や家事労働のために船員業からの離職を余儀なくされることもなくなる。女性が男性と同等に職場に参画するということの裏側には、男性が女性と同等に家事労働に参画するということが実現しなければ、社会において本来の「男女共同参画」は実現しない。W L Bの取組みという意味では,海運業界は、一見したところ最も縁遠い業界であるかように見えるかもしれないが、方策の工夫と意識の啓発次第で社会における既成概念を根底から覆す刷新的業界にもなり得るのである.
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Research Products
(2 results)