2018 Fiscal Year Research-status Report
Development of thin film diamond membrane detector for precise dosimetry for heavy ion cancer therapy
Project/Area Number |
18K11916
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
加田 渉 群馬大学, 大学院理工学府, 助教 (60589117)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
酒井 真理 群馬大学, 大学院医学系研究科, 助教 (70727338)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 重粒子線場 / 線量計測 / LET / 半導体検出器 / ダイヤモンド / 薄膜構造 / ワイドダイナミックレンジ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、重粒子線がん治療装置のさらなる高度化に必要となるワイドダイナミックレンジの半導体放射線検出器を開発することを目的とする。重粒子線場において、線エネルギー付与(LET)の異なる粒子による治療線量への影響を考慮した線量計測・管理技術の実現は、今後のマルチイオン照射技術やLETペインティング技術など重粒子線治療技術の高度化に合間って非常に重要となると想定される。しかしながら、現在の線量計測体系ではLETを加味した放射線計測は実現されていない。そこで、本課題では、半導体検出器材料として非常に薄い単結晶ダイヤモンドで構成される検出器を利用した新しい線量計測体系の実現を目指す。本年度は重粒子線照射場において、シリコンやSiCといった半導体検出器を設置し、厚みを変更できる水槽を前置することで、単一エネルギー290 MeV/u の炭素線のブラッグカーブ各所を模擬して照射とスペクトル計測を行なった。数値計算上は0.5 - 500 keV/um の範囲にLETスペクトルが想定される条件であり、ダイヤモンドに近しい条件のSiC半導体検出器を用いた既存回路系システムの試験においては 5 - 100 keV/um 程度に対応するスペクトルの一部が確認できた。今後は、研究課題としている薄膜型ダイヤモンド検出器自体におけるダイナミックレンジの確保を目指した検出器構造の高度化を推進する。試験で得られた結果から、1桁程度のダイナミックレンジ拡大が可能となれば全LET範囲をカバーするスペクトル測定が実現できると想定されるため、これを可能とするダイヤモンド検出器自体の構造が最適化された検出器の開発を目指す。これにより、目標とする全LET範囲におけるエネルギー分析の可能性を模索する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究計画において市販ダイヤモンド基板を購入して検出器を開発する予定であったが、昨年度に市場を寡占的に占めるCVDダイヤモンド製造販売供給源からのダイヤモンド基板の供給が世界的に著しく停滞したため、計画の通りのダイヤモンド検出器の製作に支障が生じた。このため国内のダイヤモンド薄膜成膜技能を有する研究機関等からの供給が受けられるように研究協力関係を構築するなど対策を講じた。
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Strategy for Future Research Activity |
国内および国際的な枠組みの中で、ダイヤモンド薄膜を成膜できる技能を有する研究機関とのさらなる協力関係を構築しながら、必要なダイヤモンド薄膜の供給が受けられるように研究体制を再度構築し研究活動を推進する。なお昨年度中に別の半導体材料により、重粒子線場での粒子線エネルギー計測が可能な計測回路体系が構築できていることを確認しているため、検出器の製作が可能となればすぐにその試験が開始できるような研究システムの構築がなされている。
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Causes of Carryover |
(理由)初年度に連携関係が構築された豪州UoWの協力を受けて、重粒子線場での線量計測と数値計算における評価が想定以上に進展したため、LETスペクトル解析や、RBEの演算に関する計算環境構築等の計画について研究分担者側で再検討を行った。この上で次年度に対応する重粒子線場での計算システムの整備などを計画するためその必要経費の確保を初年度予算の残額から調整することで確保することとした。
(使用計画)本年度の研究成果をもとに、計画通り検出器開発を進めながら、得られたLETスペクトルの解釈やRBEへの演算など、線量評価システムとしての本研究開発成果物の高度化にするために確保した予算残額を活用する。
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Research Products
(5 results)