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2018 Fiscal Year Research-status Report

Chemical species identification of ions incident on water by beta-NMR

Research Project

Project/Area Number 18K11920
Research InstitutionOsaka University

Principal Investigator

三原 基嗣  大阪大学, 理学研究科, 助教 (60294154)

Project Period (FY) 2018-04-01 – 2021-03-31
Keywords核磁気共鳴 / 不安定核ビーム / 窒素イオン / 水 / 化学シフト
Outline of Annual Research Achievements

水のような分子を構成粒子とする物質中にエネルギーを持ったイオンが入射したとき、そのイオンは最終的にどのような状態に落ち着くのかはほとんど知られていない。水分子に含まれない窒素や炭素などのイオンが外部から入射してきた場合、これらがどのような化学種を形成するのかは、氷で覆われた天体での化学進化や、粒子線癌治療において生体中で形成される化学状態など、興味深い問題に繋がっている。本研究では、これらの問題にアプローチすべく、ベータ線検出を利用した核磁気共鳴(β-NMR)法を用いて、水や氷の中に打ち込んだ炭素や窒素イオンなどの精密 NMR スペクトル測定を行い、化学シフトから化学種同定を行う方法の確立を目指している。
H30年度は、核スピン I = 1/2 のため線幅が狭く、精密NMR測定の実現が見込まれる短寿命核 17N (半減期 = 4.17 s) を用いて、液体の水試料中のβ-NMRスペクトル測定を行った。重イオン核反応により、スピン偏極した 17N ビームを高い収量で供給することに成功し、さらに精密 NMR スペクトルを効率良く測定するために 180°パルスによるスピン反転法を開発した。実験の結果、以前得られていた I = 1 の 12N 核のときよりも格段に狭い線幅のスペクトルが得られ、2本の共鳴線の存在が明確に示された。これにより、水に打ち込んだ窒素イオンが少なくとも2種類の化学種を形成することが明らかになった。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

重イオン核反応によりスピン偏極 17N ビームが高い収量で得られることを確認し、これを用いれば計画のβ-NMR 測定が十分に可能であることを示した。さらには、精密 NMR 測定に向け、180°パルスによるスピン反転法により効率良く狭い線幅のスペクトルを測定する方法を開発した。これにより水に打ち込んだ 17N の精密スペクトル測定に成功し、明確に2本の共鳴線が分離出来たことは予想を超える成果であった。
一方で、もうひとつの課題である、化学シフトの基準となる参照試料の確立に関しては、マシンタイム上の制限もあり大きな進展が見られなかった。
以上により総合的に判断すればおおむね順調に進展していると言える。

Strategy for Future Research Activity

水に打ち込んだイオンの化学種を NMR により同定するためには、化学シフトを決定する必要がある。そのためには化学シフト既知の参照試料を用いて、水試料中の 17N などのスペクトルから得られた共鳴周波数との差を測定しなければならない。参照試料の候補として、窒素核においては窒化ガリウム (GaN) などの窒化物単結晶を考えている。四重極モーメントをもつ 12N を用いて四重極相互作用を観測することにより、GaN 中に打ち込んだ窒素核の植え込み位置(サイト)を同定する。そしてその結果を元に、GaN 中の窒素置換位置における共鳴周波数を測定し、化学シフトの基準とする。これにより水に打ち込んだ窒素イオンの化学種を決定する予定である。
つぎに、同様の研究を炭素について行う。I = 1/2 の短寿命核 15C のスピン偏極ビーム生成はすでに成功しており、これを用いて水の中の β-NMR スペクトル測定を行う。化学シフトの参照試料としては炭素の単体物質であるグラファイトを有力視している。

Causes of Carryover

実験に参加する人員が予定よりも少なかったことなどにより、旅費が当初の計画よりも少なかったため。
次年度は、人員を増加するためその旅費に使用する。また実験試料購入、装置改良のための物品購入にも充てる予定である。

  • Research Products

    (4 results)

All 2019 2018

All Journal Article (1 results) (of which Open Access: 1 results) Presentation (3 results) (of which Int'l Joint Research: 2 results)

  • [Journal Article] π パルスによるH2O 中17N の精密NMR スペクトル測定2019

    • Author(s)
      三原基嗣, 松多健策, 福田光順, 南園忠則, 田中聖臣, 若林諒, 柳原陸斗, 杉原貴信, 大西康介, 八木翔一, 西畑洸希, 長友傑, 泉川卓司, 本間彰, 大坪隆, 西村太樹, 百田佐多生, 小沢顕, 北川敦志, 佐藤眞二
    • Journal Title

      KURNS-EKR

      Volume: 4 Pages: 54-56

    • Open Access
  • [Presentation] Beta-NMR of short-lived nucleus 17N in liquids2019

    • Author(s)
      M. Mihara, T. Sugihara, M. Fukuda, A. Homma, T. Izumikawa, A. Kitagawa, K. Matsuta, T. Minamisono, S. Momota, T. Nagatomo, H. Nishibata, D. Nishimura, K. Ohnishi, T. Ohtsubo, A. Ozawa, S. Sato, M. Tanaka, R. Wakabayashi, S. Yagi, R. Yanagihara
    • Organizer
      International Conference on HYPERFINE Intereractions and their Applications (HYPERFINE 2019)
    • Int'l Joint Research
  • [Presentation] Beta-NMR of short-lived nuclei in liquid media for g-factor measurements2018

    • Author(s)
      M. Mihara, T. Sugihara, K. Matsuta, M. Fukuda, M. Tanaka, R. Wakabayashi, K. Ohnishi, S. Yagi, T. Minamisono, T. Izumikawa, S. Momota, A. Homma, T. Ohtsubo, D. Nishimura, A. Ozawa, T. Nagatomo, S. Sato, A. Kitagawa
    • Organizer
      4th Joint Meeting of the APS Division of Nuclear Physics and the Physical Society of Japan
    • Int'l Joint Research
  • [Presentation] πパルスによるH2O中17N の精密NMRスペクトル測定2018

    • Author(s)
      三原基嗣, 松多健策, 福田光順, 南園忠則, 田中聖臣, 若林諒, 柳原陸斗, 杉原貴信, 大西康介, 八木翔一, 西畑洸希, 長友傑, 泉川卓司, 本間彰, 大坪隆, 西村太樹, 百田佐多生, 小沢顕, 北川敦志, 佐藤眞二
    • Organizer
      平成 30 年度 KUR 専門研究会「短寿命 RI を用いた核分光と核物性研究 V」

URL: 

Published: 2019-12-27  

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