2019 Fiscal Year Research-status Report
Investigation of multiple interference effect of edge radiation
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18K11944
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Research Institution | Saga prefectural regional industry support center |
Principal Investigator |
江田 茂 公益財団法人佐賀県地域産業支援センター(産業振興部研究開発振興課、九州シンクロトロン光研究センター), 加速器グループ, 主任研究員 (50311189)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | エッジ放射 / 超伝導ウィグラー |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の研究活動は大まかに(1)計算機環境整備、(2)理論モデル検討、(3)観測実験に分けられる。(1)についてはparaxial近似をベースにした多重エッジ放射干渉効果の電場計算及び既存放射光計算コードの高速化のために進めている。デスクトップPCを複数同時使用する並列計算方式を採用し、まず3台のPCを用いてネットワークを介したparaxial近似電場計算の遠隔制御、ファイル共有等基礎的試験を行い基本的構想の有効性確認を行った。この結果を踏まえPCをさらに加え、全12台でparaxial近似電場計算の並列計算の本試験を行った。PCの並列性に加えCPUの内部並列性を利用することで単一CPUのPC1台に比べ最大で数十倍程度計算が高速化された。電場計算高速化の環境はほぼ整ったと考えている。(2)については、様々な磁石システムのフリンジ磁場分布に適用できる多重エッジ放射干渉効果の拡張について解析的取扱い方法を試行錯誤している。これまでに解析的考察のベースとするため永久磁石、常伝導磁石、超伝導磁石の性質を反映した磁石モデルを用いて数値計算によるケーススタディを行い、フリンジ磁場のエッジ放射への寄与について大まかな系統性を得た。(3)についてはSAGA-LS蓄積リングでのエッジ放射観測実験においてビームダンプを伴う蓄積リング室への立ち入り回数を抑制し測定のスループットを改善するため、超伝導ウィグラーセクション設置の観測光学系の一部ミラー軸の遠隔制御化を行った。この観測系を用いてウィグラー直線部のビーム軌道変位に対するエッジ放射の偏光の空間分布依存性観測を行った。 発表報告としては、上述のケーススタディの計算結果を2020年度放射光学会年会にて発表した。また同年会において超伝導ウィグラーに関する講演依頼があり、この発表の中で本研究に関わる多重エッジ放射干渉効果について報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の構想では、多重エッジ放射干渉効果の解析的モデルの拡張に目途をつけ、かつ年度内の比較的早い段階で計算機環境整備を完了し、これを用いて解析的モデルの本格的検証を進める予定であったが、計算機環境整備、解析モデル検討ともに遅れが生じている。計算環境整備に関して3台から12台のPCシステムに拡大する際に、PCの機種、OSの仕様が購入時期の違いによって詳細において相違したことが要因で、当初ネットワークを介した電場計算の制御が正常動作しないトラブルが発生し、これについての原因調査と対策に予想外に時間をとられた。また多重エッジ放射干渉効果の理論モデルの拡張において、考察のベースとなる数値計算によるケーススタディの検討はある程度進んだものの、解析的なモデルの拡張については、様々な磁石系でのフリンジ磁場の効果の相違を入れた一般性の高いかつ簡便な解析的表現を得るための試行錯誤を継続しており、現段階では見通しの良い拡張モデルに達していない。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き多重エッジ放射干渉効果の理論モデル構築において、paraxial近似を基礎としフリンジ磁場を入れた一般性の高い解析的かつ簡便な拡張モデル実現のための検討を進める。またこのための考察のベースとなる数値的ケーススタディをさらに進める予定である。整備した計算機環境はこれらケーススタディ及び拡張モデルの数値的検討検証のために本格的な運用を開始し、またSAGA-LS蓄積リング超伝導ウィグラーセクションでの観測実験によって、拡張モデルの基礎的性質について、実験的観点からの検証を行いたいと考えている。
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