2018 Fiscal Year Research-status Report
公共性に根ざす都市道路付帯物(アノニマス構成要素)の色彩基準
Project/Area Number |
18K11959
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Research Institution | Akita University of Art |
Principal Investigator |
尾登 誠一 秋田公立美術大学, 大学院, 教授 (60152550)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飯倉 宏治 秋田公立美術大学, 大学院, 教授 (30611933)
岸 健太 秋田公立美術大学, 大学院, 教授 (10313313)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 都市景観美 / 道路付帯物 / 現場踏査・測色調査 / 公共性 / 準景観色 / 運用のシステム化 / カラースキーム |
Outline of Annual Research Achievements |
研究は、対象場の中に含まれる多様なアノニマス景観要素の色彩を准景観色として捉え、地色と図色の相関による色彩調和・景観美の創出に照準し、地域性を踏襲しながら道路付帯物の准景観色を設定するという点を特徴とする。研究は、特に問題視される都市道路付帯物の色彩に焦点を絞り、対象場(景観主調色)のなかの道路付帯物色(准景観色)を調査・分析・評価・色票化し、デザイン的対応で道路付帯物の色彩を定位させるという独自性を有する。本研究は、色彩は情報であるという観点から、色彩が安易に使用され混乱状態が多出する都市の道路景観に焦点をあて、地域個々にある道路付帯物の色と背景色を色票として拾いながらその見せ方をデザインし、准景観色の設定とシステム化を提案することで景観調和のあり方の基準を示し、学術的成果の社会的応用展開に資することを目的としている。平成30年度(調査)は文献調査、及び景観条例・色彩ガイドライン等を制定する行政資料収集にはじまり、これらから想定される調査・評価シートを作成、これをもとに、選定した12都市の色彩に関わる現場踏査を春季ー秋季の2期に分けおこなった。その具体は既設される道路付帯物色(図色)のマンセル測色計による接触測色調査、およびデジタルカメラによる対象場の撮影と調査用M.Mカラーチャートによる視感測色を並行して行い、図色と地色の色彩データ収集と調査データ整理を主たる作業としておこなっている。調査データは、各都市個別、南-北軸、太平洋側-日本海側、及び全都市における道路付帯物色の出現傾向をチャート化し、地域性における現況と照らし、次年度に計画される分析作業の要点を抽出している。調査データは、各都市別の道路付帯物の色彩(マンセル値)13シート、ゾン別として東北地区・北陸、長野・関西・九州、及び全国分5シートを作成するが、関東地区のみ未整理であり、この文に関しては次年度に作成を考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現場踏査によるデーター収集は、次の分析段階の要点を想定する上でも有効であり、研究課題の方向性をより明確にしたことを実感している。調査は、日本全域における主要都市12箇所を想定していたが、函館、札幌では、予期し得ない台風と地震による大停電と補助員のない状況から、撮影中心におこない画像データから色彩を拾うという事態が生じた。結果として景観行政が話題となっている、静岡市や小倉市を追加調査し、道路付帯物の色彩傾向に計画性の関与の有無を現場で感じながらの調査となった。
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Strategy for Future Research Activity |
調査段階で確認した各都市の道路付帯物色彩の出現傾向は、当初想定した南-北軸、太平洋側-日本海側という地域性からの差異より、新-旧という環境イメージに起因するという新たな観点を確認した。また、当初想定していた都市道路景観の混乱状況は、現場対応における塗料対応への考慮不足に多く起因すると思われ、都市景観美創出に向けた実現性(色彩選定のしやすさ=例えれば日本塗料工業会の塗料用標準色見本帳との関連など)への対応は不可欠の要因であることが確認できた。今後の研究は、分析作業と並行しつつ、追加調査によるデータ追加と、施色の現場対応・実現性に配慮した研究推進を考えたい。
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Causes of Carryover |
調査は、撮影・データ採り・記録という作業を2人で行うことを考えていたが、スケージュール調整のためため申請者1人で行った結果、人件費、交通費が余剰した。 30年度は、概ね計画に沿った調査を行うことができたが、次年度の分析段階において、確認調査のための地点を5箇所想定しており、これに関する旅費に充当したい。
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