2018 Fiscal Year Research-status Report
海外図書館の大規模所蔵調査に基づく日本文化としてのマンガ受容に関する総合的研究
Project/Area Number |
18K11996
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Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
大谷 康晴 日本女子大学, 文学部, 准教授 (60341880)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安形 輝 亜細亜大学, 国際関係学部, 教授 (80306505)
江藤 正己 学習院女子大学, 国際文化交流学部, 准教授 (10584807)
杉江 典子 東洋大学, 文学部, 准教授 (50383295)
安形 麻理 慶應義塾大学, 文学部(三田), 准教授 (70433729)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | マンガ / 図書館 / 所蔵調査 / 文化受容 |
Outline of Annual Research Achievements |
この研究の目的は,1)従来は実現しえなかった手法を駆使した大規模な図書館所蔵データに基づいた分析によって海外におけるマンガの受容の基本的な傾向や動向を定量的に把握すること,そして,2)文化・学術における知識の集積としての図書館の価値を再確認し,図書館を通じて文化を分析する手法の可能性を提示することである。 2018度は,これらの研究目的を達成するための大規模所蔵調査の準備段階として,特定の大規模な図書館の所蔵データを分析することで,マンガの受容に関する知見が得られることを米国議会図書館を対象として確認した。また,全世界の大規模な図書館の所蔵を調査するための前提として完璧に近い資料リストの作成について検討を行った。 前者は,日本図書館情報学会第66回研究大会において”米国議会図書館(LC)における日本のマンガの所蔵”と題するポスター発表を行った。LCのMARCデータとZ39.50経由のAPIで収集したコミック,そしてその中から日本のマンガと思われるデータを抽出した。年代や出版者について見ることにより,所蔵されている日本のマンガの受容が様変わりしていることが確認でき,方法論として有効性があることを確認した。 後者については,資料リスト(マンガの作品名によるリスト)作成の前提としてマンガの著者について世界規模でのリストの作成の可能性について検討し,一定の成果が期待できると判断した。この検討の成果については2019年度中に公表できるように進めているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究においては,従来行われてこなかった規模での所蔵調査を行うことが方法論の中心である。これらの方法論が実施しえない,あるいは実施しても分析して見るべきものがないのであれば研究としての意義の多くが失われる。2018年度の研究活動では,これらの方法論の有効性を確認しつつ,従来以上の規模の所蔵調査の実施可能性も確認できた。 また,申請時の研究計画においても2018年度が準備作業であり,2019年度に大規模所蔵データの収集を予定している。2018年度の成果に基づいて2019年度中の大規模所蔵調査に着手することが可能になったことを踏まえて,評価を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
まず大規模所蔵調査が可能となるマンガの作品リスト(日本語版だけではなく,各国版も含む)の作成を行う,作品リストの前提としてマンガの著者のリスト(正確には各国の著者の表記のリスト)が用意できることが判明したので,そのリストをもとに,少なくとも1か国で所蔵されている資料の一覧を用意し,それからマンガの作品リストを作成する。そのリストを元に所蔵調査を行う予定である。 また,海外版のマンガを対象とした調査で各国で受容されたマンガの書誌的な検討を別途行う予定である。
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Causes of Carryover |
データの整理について謝金を計上していたが,代表者と分担者の作業の範囲で作業が完了した。また,調査時にAPIを使用した場合,経費が発生する可能性を想定して計上したが2018年の調査対象はいずれもオープンデータであり,費用が発生しなかった。 2019年度は大規模な所蔵調査を行うため,これらの調査段階で費用が発生することが想定されているため,2019年度計画分と合わせて執行して,より充実したデータの収集が可能となるように研究を進める予定である。
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