2018 Fiscal Year Research-status Report
情報化時代における佚文収集の手法についての研究:大蔵経からの抽出を事例として
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18K12001
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Research Institution | Hanazono University |
Principal Investigator |
山田 崇仁 花園大学, 文学部, 准教授 (20425010)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 佚文研究 / 大蔵経 / パターン認識 / 悉皆調査 / 古写経との比較 / 中国先秦史史料 / 『世本』佚文 / 『國語』韋昭注 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度は、史料の収集を中心に研究を進めた。国際仏教学大学院大学に赴いて、日本の古写経の複写を行い、次年度以降の比較検討材料を収集した。また、研究計画に挙げた法琳の著作についてデジタルテキストを作成し、引用書の部分が判明しやすくなるような加工を行っている(継続中)。 一方、これまでの研究成果を用いて、パターン抽出によるキーワードを利用したオンラインデータベースを利用した佚文収集と分析についてのテストケースとして、『世本』作篇の佚文収集と分析に関する研究を行い、論文として公刊した。 また、悉皆調査との比較のために、『國語』韋昭注に引かれる『世本』佚文を、過去の研究で見つけ出したパターンを利用して集解的に抽出し、その整理を行った。これについての研究は、現在論文として投稿中である。 また別に、文献の成書時期やキーワードのパターン認識の上で重要な情報として、君主や皇帝一族の名前を挙げることができる。その名前を調査する上で、現在一般に知られている名前が実は、何らかの理由により後世誤認されたものがある事を、過去前漢前少帝の名前について研究を行った。本年、その関連研究として、我が国の聖武天皇第一皇子の名前について、従来言われている「基」というそれが、「某」からの誤記で誤って定着したものであり、本来の名前は不明であるという内容の学会報告を行った。 上記2018年度の研究を行う上で、国際仏教学大学院大学・台湾国家図書館・宮内庁書陵部・国立公文書館・東京大学史料編纂所を訪問して、史料の閲覧・複写を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
資料の収集については、現在まで順調に進んでいる。 法琳の著作のデジタル化については、既に終わっているが、引用書のマークアップに当初の想定より時間を要しているため、次年度はこの作業を重点的に行いたい。 また、パターン認識で抽出したキーワードによる佚文収集については、『國語』韋昭注を利用したテストケースでは、ほぼ悉皆調査と遜色の無いデータが得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度は、上述のように法琳の著作のデジタルデータ作成の作業を重点的に行いたい。 また、佚文収集についても、前年度のテストケース的なものを作成しつつ、より広範囲なものを行いたいと考えている。 また、日本古写経を利用したキーワード抽出の精度向上について、本年度はいくつかの人名や固有名詞などをターゲットに調査を行う予定にしている。
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