2020 Fiscal Year Research-status Report
情報化時代における佚文収集の手法についての研究:大蔵経からの抽出を事例として
Project/Area Number |
18K12001
|
Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
山田 崇仁 立命館大学, 文学部, 非常勤講師 (20425010)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 佚文収集 / 大蔵経 / 情報検索方法 / 先秦史資料 / 中国史 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、新型コロナウイルスの影響により、当初の予定のうち、内外研究機関での資料調査がほぼ不可能となり、特に国際仏教学大学院大学図書館で予定していた、日本古写経データベースを利用した、古写本を利用した佚文・異文確認のための資料収集がまったくできない状況であった。 そのため本年度は、SATを用いた佚文収集を引き続き進める作業を中心に行った。加えて、そこから見出した佚文のパターンを別途SAT以外の資料で試し、その結果を詳細に分析する作業を行い、手法の有効性を調査した。その結果、系譜などの定形書式であれば、検索結果の中から佚文と見なせる部分を収集することができた。 また、当初の研究計画に従い、唐:法琳の著作を分析し、その中で得られた外典(儒学の経書など)の文章を、現行本と比較して両方の差異を確認する作業を行ったが、たまたまなのだろうが、両者の文章について、学術上顕著とは言えない程度の差異しか確認されず、この部分の予定は研究計画としてはここまでで打ち切ることにした。 ただしその作業の中で、法琳の著作から獲得された佚文部分を読み込むことで、「佚文とは断定できないが、その一部である可能性が高い文章」を分析することになり、佚文研究から一歩進展し、六朝~唐時代における、先秦史の年代観に関する新たな知見を得た。 また、昨年度の研究実績にも記した、六朝~唐における先秦史に関する年代観などの歴史認識について、周王の諱・諡に関す研究をまとめ、オンラインの国際学会(東アジア文化交渉学会)で発表した。別に、オンラインでの参加がほとんどではあったが、国内の学会に参加し、研究に関する知見を得た。更に佚文キーワードの収集作業の一環として、先秦期の同時代資料(青銅器名文)を読み込む作業と当該分野の研究論文の提要を作成し、何れも文章の形で学会誌に掲載した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度は、新型コロナウイルスの影響により所属機関以外に赴いての資料調査が出来なかった。そのため、古写本を利用した校訂資料の部分については、新しい材料を獲得できなかった。 一方、SATを利用した佚文収集については、現在の所順調に推移している。そのため、SAT以外の材料を利用した新規データの収集は一旦打ち切り、SATで集めた既存データを対象にした整理作業を遂行中である。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度は最終年度であったが、新型コロナウイルスの影響により一年の延長を申し出、受理されている。 ただ、新年度も新型コロナウイルスの影響が収まる気配が無く、新規資料収集の展望が描けない可能性が高いと考えている。 そのため、最終年度の方針として、これまでに収集した資料を元にした輯逸本の作成や、報告書の作成に向けた作業を中心に行う予定である。
|
Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響により、予定の研究が遂行できず、一年の延長を申し込んだため、次年度使用額が生じている。 次年度は、最終年度として、研究代表者が現在までに集めた資料を中心に、報告書の作成や論文の執筆を中心に研究を遂行する予定であり、研究費は研究環境の整備、入手可能な資料の購入などに使用する予定である(もし仮に国内外の研究機関へのアクセスが適ったならば、旅費として使用する予定である)。
|