2021 Fiscal Year Research-status Report
情報化時代における佚文収集の手法についての研究:大蔵経からの抽出を事例として
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18K12001
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
山田 崇仁 立命館大学, 文学部, 非常勤講師 (20425010)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 佚文収集 / 大蔵経 / 先秦史資料 / 中国史 / 情報検索方法 / 外字問題 / 出土文字資料 |
Outline of Annual Research Achievements |
新型コロナウイルスの影響により、昨年度に引き続いて内外研究機関での調査が難しい状況となった。そのため、本年度もSAT大正大蔵経データベースでの検索結果や日本古写経データベースを始め、研究代表者が過年度に入手済みの材料を使用して、佚文の収集・整理を行った。また、先秦期に使用された確実な語彙の用例である、出土文字資料の釈読を進めた。 その結果を踏まえると、前年度にも述べたように、大蔵経所収の先秦関係の記述には後世の改編(文字・表現の正規化)や後世の歴史認識を反映した(六朝期に確定した)歴史記述(それが当時新たに獲得された先秦期資料によるか否かは、別途の検討を要す)が混在していることが、改めて認識された。本研究では、それらの記述自体も佚文収集の対象と見なしている。それは、学界に余り知られていない情報の提示という意味合いもあるが、我々が未見の先秦期の材料によるものか、あるいは六朝期のそれであるのかについて、研究代表者が軽々に結論を出せるのか、躊躇せざるを得ない場合もあるからである(無論、佚文の注記として、なんらかの見解は記す予定である)。 また、佚文整理の過程で必然的に生ずる、Unicode未収録字の処理方法について検討を重ねた。一つには、校勘情報を提示するために、底本の字形をできるだけ忠実に反映した字形の提示である。もう一つは、検索の便を考慮に入れた正規化処理の方法である。同様の問題を抱える出土文字資料とも関連して検討を行い、口頭報告を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度に引き続き、新型コロナウイルスの影響で資料収集が進まなかった。そのため、昨年度に引き続き、SATデータの収集・整理を行っている。昨年度は全体の整理作業を遂行しつつ、緯書に関連するデータに焦点を当てて更なる抽出活動を行った。 日本蔵古写経データに関しては、日本蔵古写経データベースの新公開情報を常に確認していたが、(底本の関係で)研究に大きな影響を与えるものは公開されていないと判断したため、現状の作業進行に影響はないと判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルスの影響により、二回目の延長を申請した。 最終年度として、これまでに収集した資料を整理することが目的となる。 可能であれば、内外の研究機関を訪れて、確認用の資料閲覧を行いたいが、それが難しいことも考慮に入れた研究遂行を行う予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響により、研究を1年間延長する申請をし、それが受理されたため、次年度使用額が0より大きいという結果となった。 次年度は、最終年度となるため、確実に研究をまとめる予定である。
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Research Products
(4 results)