2022 Fiscal Year Research-status Report
映像アーカイブの教育活用によるサーキュレーション型文化創造に関する実践的研究
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18K12003
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
北村 順生 立命館大学, 映像学部, 教授 (20334641)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 映像アーカイブ / 教育 / 活用 / 実践 / 地域 / 歴史文化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の研究実績は、大きく2点に集約される。 1点目は、映像アーカイブの教育活用の実態についての事例調査である。現在、各地で映像アーカイブを活用した教育実践の試みが勧められており、その実情について、活動主体や活動内容、活用している映像アーカイブの内容や資料の性質などについて、各種文献や資料収集による調査を行った。 2点目は、映像アーカイブの教育活用に関する実践研究である。京都市北区原谷地域における戦後の農地開拓による入植の歴史や、入植者たちの戦前における満蒙開拓の経験について、写真やフィルム等の映像資料のアーカイブ化とその教育活用の実践に関して研究を行った。立命館大学映像学部「映像文化演習Ⅰ・Ⅱ」における授業実践を通じて、同地域の戦後の変遷の様子を映像資料の収集や聞き取り調査などを通じて参加学生が調査を行い、その過程で得た自らの気付きや学びを自らの二次的な映像制作と結びつけた。その成果については、交流授業を通じて他地域の学生たちへと伝えていくことで、映像アーカイブを活用した地域の記憶や歴史の空間を超えた伝承についての実践を行った。 また、今年度は、原谷地域において現地の住民を対象とした成果発表会を行った。写真や映像の展示・上映や成果報告を通じて、地域の歴史を体験してきた高齢者から、近年になって移住してきた新規住民や子どもたちが多数参加することによって、地域の記憶や歴史について映像アーカイブを活用して世代を超えた伝承を試みる実践を行った。 他大学の学生および地域住民いずれのケースにおいても、地域の歴史や文化を伝えていくことの重要性や課題などがフィードバックされ、参加学生たちが自らの学びをリフレクションしていく契機として教育的効果が非常に高いものであると評価できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
映像アーカイブの教育活用に関する実践活動の成果について、これまで地域住民を対象とした成果発表会の開催を計画していたが、新型コロナウイルス感染症の拡大により対面では開催できず、一部をオンラインで開催するに留まっていた。今年度においては、現地地域での対面による映像アーカイブの展示・上映および成果発表会を実施することが可能となり、本研究の教育実践をより深く進めることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
映像アーカイブの教育活用に関する実態調査については、対象となる映像アーカイブを運営する団体や組織、アーカイブの内容等についての調査をさらにすすめ、映像資料の教育活用に関する実態調査を進めていく。 教育における映像アーカイブ活用の実践研究については、引き続き、京都市北区原谷地域をフィールドとした実践研究を進める。さらに、同地域の歴史文化を記録する映像アーカイブの構築も進めていく。
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Causes of Carryover |
研究成果の一環としてフィールド調査地域に関する映像アーカイブのシステム構築を試みたが、仕様の精緻化等が十分でなく、実現に至らなかった。次年度においては、フィールド調査地域に関する映像アーカイブ構築を実施する計画である。
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Research Products
(1 results)