2018 Fiscal Year Research-status Report
仮想テクスチャを表すオノマトペの分析による日常言語の創造性の研究
Project/Area Number |
18K12009
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
宇野 良子 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (40396833)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大海 悠太 東京工芸大学, 工学部, 准教授 (60571057)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | オノマトペ / 新造語 / 仮想テクスチャ / コミュニケーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、未経験の質感をもつ仮想テクスチャを言語で表現する実験を通じ、新しい言葉が創り出されるしくみについての理論を認知言語学の観点から構築することを目指す。言葉の中でも、オノマトペ(擬音語・擬態語)に着目し、慣習的なオノマトペに対し、発話の場で新しく創られるオノマトペである「臨時オノマトペ」の実態について、計量的手法を取り入れることによって明らかにすることである。特にコミュニケーションの有無が、臨時オノマトペ生成にどのような影響を与えるのかに注目する。 初年度は、視覚的に触感覚を表現するアプリケーションを用い実験を行なった。実験参加者は、タブレット上の仮想テクスチャに触り、オノマトペでその質感を表現した。一人で表現する場合と二人で表現する場合の二つの条件で行なった。集まったオノマトペデータの分類まですすめた。特に二人の場合について、表現を決定するまでのプロセスの表情や行動に着目した観察も行い、コミュニケーションの映像分析の可能性も探った。 また、新造語の研究の観点から、臨時オノマトペが持つ言葉の創造性についての理論を構築をすすめた。特に話者による言語の質感の探索に焦点をあてた。この成果はいくつかの学会で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験については、予定通りにすすみ、分析に必要なデータを揃えることができた。また、理論構築については、言語の創造性につながる「質感探索」という観点から予定よりも多くの研究分野に関わる議論を展開することとなり、順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
実験データを元に、以下の3つの観点から分析を進めていく。(1)新奇テクスチャの予測不可能性・自律性の影響、(2)他者とのコミュニケーションの有無の影響、そして(3)内的プロセスである。これら実験の結果に基づき、新造語の研究の観点から、臨時オノマトペが持つ言葉の創造性についての理論を構築する。
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Causes of Carryover |
予定していた国際学会発表が他のスケジュールとの都合上一つ次年度に持ち越しとなった。そのため、翌年度に同じ目的のために使用する。
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