2020 Fiscal Year Annual Research Report
Developmental changes in the dynamics of exploratory behavior: The case of active touch
Project/Area Number |
18K12013
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
野中 哲士 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 教授 (20520133)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 精英 公立はこだて未来大学, システム情報科学部, 教授 (90325895)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | アクティブタッチ / ハプティクス / 探索行動 / 知覚学習 / 発達 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,アクティブタッチ技能の獲得が生活の質に大きく影響する視覚障害児を対象とし、2019年4月から2020年の2月にかけて、1グラムに満たない小さな位置・角度センサーを用いて、視覚特別支援学校および盲学校に在籍する8名の児童が点字を読む指の動作を長期にわたって縦断的に計測した.この計測で得られたデータの分析をもとにして,国際学術雑誌Scientific Reports誌に国際共著論文を公刊した. 同論文では、次の二点を世界で初めて実証した. (1)点字の触読の熟達にともない、指の動きには、短期的なゆらぎと長期的なゆらぎが強く相関する長時間相関の特徴が現れる。 (2)点字触読のパフォーマンスには、指のセンシティブな領域と点字の接触を保つ指の姿勢の不変性が貢献する。 従来、点字の触読の研究においては、点字をスキャンする指の動きは、速度が一定の方が良いと考えられていた。しかし実際に計測してみると、一見スムーズに見える点字を読む指の動きは、間欠的な速度のゆらぎを伴うものであった。点字をスラスラと上手に読む子どもにおいても、点字をスキャンする指の動きは、等速とは程遠いものだった。さらに、複数の時間スケールで指の速度のゆらぎ量を算出したところ、点字を早くスラスラと読むことの出来る子どもたちの指の動きには、短期的なゆらぎと長期的なゆらぎとの間に強い相関が生じる長時間相関(フラクタルゆらぎ)と呼ばれる特徴が見られたのに対し、点字の経験が浅く読むのが遅い子どもたちの指の動きには、長時間相関のない、ランダムに近いゆらぎの時間構造が見られることが示された。また、点字初心者の子どもたちにおいて、学習を重ねる一年間のうちに、徐々にゆらぎの長時間相関が強くなる方向に指の動きが発達変化していくことが明らかになった.さらに,読むのが速い子どもたちは共通して,紙面に対する指の接触姿勢を比較的不変に保っていた.
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