2022 Fiscal Year Research-status Report
乳幼児期における日常の視覚環境調査と色知覚メカニズム発達に関する実験的研究
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18K12016
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
山下 和香代 鹿児島大学, 理工学域工学系, 准教授 (70580067)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 視覚環境 / 日常の調査 / 色 |
Outline of Annual Research Achievements |
個人の視覚環境の違いとその視覚発達メカニズムについて、乳幼児を対象とした視覚環境の調査と実験的研究により検討することが本研究の目的である。日常的な視覚環境による経験を調査するために、乳幼児に適用可能なカメラの選定とデータ採取を依頼する乳幼児の確保、調査のプロトコルはこれまでに確立済みであった。昨年度内に整理した乳幼児視点風景データ群を用いて、画像に含まれる特徴分析を行った。まだ分析途中ではあるが、色度座標の分布に着目すると、生後6ヶ月以下の乳児と成人の間には違いがありそうだが、それ以降の乳幼児と成人の間には違いが確認されていない。生後6ヶ月以下の乳児と成人の色彩環境の違いは、成人と比べて乳児の色彩環境には彩度の高い色が少ないという分析結果となっている。また屋内屋外による色度分布の違いも確認されている。空間周波数の特徴に着目すると、屋内屋外による違いはありそうだが、乳幼児と成人の間ではどの年齢群においても違いは確認されていない。成人が取得している視覚環境と乳幼児が取得している視覚環境、個人内および個人間で詳細に統計分析を用いて検討していく。これら色環境に着目したデータ分析や空間周波数に着目したデータ分析について、研究成果の公表を行う。乳幼児の日常的な視覚環境調査で取得したデータのデータベース化については、利用者から意見を聴取しより使いやすいものとして提供できるように調整している段階である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウィルス感染症拡大防止のために入構制限が設けられるなど研究活動の遂行が困難な場面が多かった。制限が緩和された合間をみて日常環境でのデータ取得を試みたが、データの回収率が悪く、コロナ禍ではプロトコルを見直す必要があった。断続的に制限のかかる状況下ではプロトコル見直しにも時間を要したため中止せざるを得なかった。データ取得を中止している間は、これまでに取得したデータの整理とそれらを利用して、色環境や空間周波数に関する分析検討を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
データベース用に整理したデータを利用者からの意見をもとにさらなる整備をする。また、取得したデータをもとに空間周波数解析、色分布解析、顔に関する解析を親子間でのデータですすめることによって発達的に検討し学会発表や学術論文としてまとめるなど研究成果の公表をする。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染症流行の影響を受け、感染拡大リスクを避けるため、研究遂行が困難な時期が断続的にあったため次年度使用額が生じた。今後の使用計画は、研究成果の公表のための学会発表や学術論文としてまとめる投稿にかかる費用、英文校閲に使用予定である。
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