2019 Fiscal Year Research-status Report
Beyond the principle of optimization: diversity of cross-modality mapping
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18K12017
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
牧岡 省吾 大阪府立大学, 人間社会システム科学研究科, 教授 (60264785)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 共感覚 / 色 / 数字 / 性格特性 / OLP / 多感覚対応 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は,以下の3つの検討を行った。 1.非共感覚者を対象に,ストループ課題を用いて色と数字の対応関係とその経時的変化について検討した.具体的には,数字を赤,オレンジ,黄色,緑,水色, 青,紫のいずれかの色で提示し,その文字色を答える際の音読潜時を計測することにより,数字と色の対応関係について検討した.その結果,特定の数字で特定の色の反応潜時が有意に短く/長くなるという対応関係がみられ,その対応関係は個人間で異なっていた.一方,その1ヶ月程度の時間を置いて同じ実験を繰り返した際の対応関係は,個人内でも変化していた. 2.非共感覚者を対象に,性格特性と色の関係性について検討した.Big Five性格特性に関する判断を色つきの反応キューによって行うSimon taskを用い,キューの色によって反応潜時に変化が見られるかどうかを検討した。その結果,1と同様,特定の性格特性と色の組み合わせで反応潜時が有意に短く/長くなるという対応関係がみられ,対応関係は個人間で異なっており,個人内の経時的変化がみられた. 3.非共感覚者を対象に,数字と性別・性格特性の関係について予備的な検討を行った。OLP(Ordinal-linguistic personification)と呼ばれる共感覚では,0から9の各数字から,特定の性別や性格特性が自動的に喚起される.数字の大小判断を性別や性格を表すキューを用いて行うSimon taskを用い,性別あるいは性格によって反応潜時に変化が見られるかどうかを検討した。その結果,特定の組み合わせで反応潜時が有意に長く/短くなる傾向がみられた。 なお,2019年5月にAPS(Association for Psychological Science) annual conventionに参加したが,その発表内容については2018年度学会発表として記載済みである.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2019年度は複数の実験を行い,非共感覚者における多感覚対応の特性について検討した.個人間で異なる対応特性が存在することを示唆する結果が得られたが,経時的な一貫性がみられなかったため,共感覚者の対応とは異なるメカニズムで生じている可能性が示唆された.その点を検討するための理論的枠組みをまだ構築できていないため,進捗状況としてはやや遅れていると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
研究概要3に記載した数字と性別・性格特性に関する実験を進める.予備的な実験では,色と数字の関係と比べてより強い効果が存在することが示唆されており,経時的な一貫性が存在する可能性もある.この点の検証を進め,論文としてまとめることが第1の目標である. 第2の目標は,色と数字の関係の経時的な変動を説明するモデルを構築することである.研究代表者がこれまでに行った実験では,曜日と空間的配置の関係において,非共感覚者の反応時間分布には経時的に一貫した対応関係が存在することが見出されている.数字や曜日のような系列パタンと色との関係は,系列パタンと数字の関係とは異なる性質を持つのかもしれない。研究代表者がこれまでに構築した自己組織化学習に基づく多感覚対応のモデルを拡張し,刺激モダリティごとの違いについて説明できるようなモデルの構築を行う.
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Causes of Carryover |
2019年度に予定していた実験をすべて実施できなかったため,次年度使用額が発生した。2020年度に実験を行う予定であるが,前期中は新型コロナウィルス感染症のため実験の実施が困難であるため,後期に実施する予定である.実験ができない期間が長引いた場合,研究期間の延長が必要となると予想している.
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