2020 Fiscal Year Research-status Report
Beyond the principle of optimization: diversity of cross-modality mapping
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18K12017
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
牧岡 省吾 大阪府立大学, 人間社会システム科学研究科, 教授 (60264785)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 共感覚 / 自己組織化学習 / ニューラルネットワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は、次の3つの検討を行った。 ・非共感覚者における数字と性格の対応について、個人間の多様性、個人内の一貫性、規則性と不規則性の混在といった共感覚者と同様な特性が見られるかどうかを検討するための実験計画を定め、実験プログラム等の準備を行った。しかし新型コロナウイルス感染症の拡大のため実験参加者を集めることができず、実験の実施には至らなかった。オンライン実験についても検討を行ったが、十分な精度を得ることが難しいと思われるため、状況が改善するまで実施を見合わせることにした。 ・非共感覚者に暗室で聴覚刺激を呈示することで色聴と類似の現象がみられたというNair & Brang (2019)の実験の追試を、学士課程の卒業研究の一環として行った。これについても十分な数の参加者を集めることができず、現象の再現はできなかった。今後、参加者に課す課題を再考して実験を行う予定である。 ・本研究課題に取り組む過程で行った理論的考察に基づき、日本認知科学会学会誌「認知科学」特集「認知科学から見た深層学習の地平線」にプロポーザル投稿を行った。本稿では、本課題の中核的な問いである「外界からの刺激と矛盾する励起感覚が学習によって消失しないのはなぜか」という点について考察を行った。Seth(2014)の階層的生成モデルによる共感覚現象の説明について検討し、共感覚現象における規則性と不規則性の混在について説明するためには、「外界の予測の最適化」という観点だけでは不十分であることを指摘した。本稿については現在審査中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2020年度は、新型コロナウイルス感染症拡大のために対面での心理実験の実施が大幅に制限されたため。
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Strategy for Future Research Activity |
・非共感覚者における数字と性格の対応に関する実験を行う。本実験については実験プログラムも完成し、研究倫理委員会の承認も得られており、大阪府立大学での対面授業が可能になった時点で、実験を開始する予定である。今年度後期にも実験の実施が難しいと判断される場合には、2021年7月頃よりオンライン実験の準備を始め、2021年9月から11月頃に実施する予定である。 ・非共感覚者において色聴現象が誘導されたというNair & Brang (2019)の実験の追試を試みる。少人数の参加者で追試を試み、その知見を基に、本研究が対象とする空間配列共感覚(文字や数字の配列が喚起される共感覚)と同様な心的イメージを非共感覚者において喚起することが可能かどうかについて検討する。これが可能であれば、「非共感覚者においても異なる感覚間で自己組織化学習が生じている」という本研究の中心的な仮説について、強い証拠が得られると考えられる。本実験は暗順応が必要であるため対面で遂行する必要があるが、参加者の人数を限定することにより、年度中の実施が可能であると考えられる。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の感染拡大のため、2020年度中は対面での心理実験を十分に実施できず、実験参加者への謝金支払いが生じなかった。また学会出張もできなかったため、旅費の執行もなかった。そのため、研究期間を延長することになり、次年度使用額が生じた。 2021年度の使用計画としては、心理実験の参加者への謝金の支払い、認知心理学・神経科学関連書籍の購入、及びデータ分析用コンピュータの購入を予定している。
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